(第51回)大学キャンパスは20年後の世界の姿

(第51回)大学キャンパスは20年後の世界の姿

1980年代まで、アメリカの大学キャンパスに中国本土からの留学生はほとんどいなかった。中国人といえば、台湾からの学生だった(ヤフーの創始者ジェリー・ヤンも台湾生まれ)。本土の学生が大学院の正規学生になろうとしても、学力の点で無理だったのである。

ところがスタンフォード大学大学院における留学生を見ると、90年代の初めに中国からの留学生が日本人とほぼ同数になった。文化大革命の混乱を脱した中国が、この頃に大学院生数でやっと日本と同レベルまで成長したのだ。

2010年、中国はGDPの規模で日本に追いついた。アメリカの大学キャンパスで90年代の初めに生じた状況が、およそ20年の遅れをもってGDPに反映したのである。学位を取得した大学院生が経済活動に影響を与えるようになるには20年程度の時間的な遅れがあるから、これは納得できる結果だ。

それ以前の時点でも、似たことが生じている。90年時点での中国のGDPは日本の13%しかなく、まったく問題にならなかった。その20年前の70年頃に、中国の教育水準は日本のそれと比較にならないほど低かったのだから当然のことだ。

以上の観察を大胆に法則化すれば、次のように言えるだろう。「大学キャンパスで起こった変化は、その20年後に現実世界に現われる」。

つまり大学キャンパスの風景は20年後の世界を映し出す「水晶の玉」なのである。アメリカの有力大学のキャンパスは、先端的事象をよく反映しており、特に役に立つ水晶だ。

もう少し詳しく見れば、次のことも言える。すなわち「学生数の状況は、経済現象として現われる数年前に、論文数や学者数などの研究面に現われる」。

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