電気代の高さが心配な人に知ってほしい最新動向 出口が見えない値上げ、どれほど節電できるか

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一般的な電気料金は、

(1) 基本料金
(2) 電力量に応じた「電力量料金」
(3) 原材料である燃料の価格変動を加味した「燃料費調整額」
(4) 再生可能エネルギー普及のために上乗せされる「再生可能エネルギー発電促進賦課金」

から成り立っていますが、基本料金以外は単価×消費電力量で請求されます。昨今の値上げの主因は火力発電に必要な原油、液化天然ガス(LNG)、石炭の燃料価格の高騰により、「燃料費調整額」の単価が引き上げられたことにあります。単価が上がったうえに消費量も増えれば、夏にはやはり電気代が高くなってしまうでしょう。

しかも、夏にかけて電気料金が今以上に値上がりするリスクもあります。燃料費調整額は3カ月前までの燃料価格の平均輸入価格や為替レートをもとに算定されています。直近で値上げされる5月分の電気料金は、2月までの燃料価格をもとに決められたものですが、足元ではいずれの燃料もまだ上昇傾向が続いています。加えて為替は20年ぶりの水準まで円安が進み、調達コストがかさんでいます。

ですから今から3カ月後の7月分や8月分の電気料金も、燃料価格に連動したさらなる上昇は避けられません。平均的な使用量のモデル世帯で、電気代が9000円を超える可能性もあるのです。

電気代値上げはしばらく出口が見えない

燃料価格の高騰は、ロシア・ウクライナ情勢しだいでまだ続くともいわれます。燃料のほとんどを輸入し、うち1割前後をロシアに頼る日本にとって、電気代の値上げに歯止めをかける要因は簡単に見つかりそうにありません。

一方で、大手電力会社の燃料費調整額には上限があり、燃料価格が上がっても、原則として会社が定める基準の1.5倍までしか引き上げないことになっています。すでに大手10社中、関西、北陸、中国などは上限に達しており、燃料価格を理由とした値上げはこれ以上ありません。

ただし、油断は禁物です。電気料金の内訳のひとつである再エネ発電賦課金は毎年引き上げられており、燃料価格とは関係なく今後も値上げの可能性があるためです。今年度も6月に検針される5月分の料金から、モデル世帯で月24円分上がります。1カ月の負担額は約900円ですが、年間にすると1万円を超えます。

次ページ再エネ発電促進賦課金は来年以降も増えていく?
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