電気代の高さが心配な人に知ってほしい最新動向 出口が見えない値上げ、どれほど節電できるか

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この再エネ発電賦課金は、徴収が始まった10年前には同じ電力使用量でも年間700円弱にすぎませんでした。太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及のために、国が大手電力会社にこれらによる電力の買い取りを義務づけていることに伴い、家庭の電気料金に上乗せされているものですが、普及が進むほど家庭の負担が増えるしくみなのです。国際情勢や燃料価格の動向、そして再生エネルギー政策を考えると、来年以降も増えていくと考えられます。

見逃している電気の浪費をカットできるか

これまでの値上げで、すでに電気代を節約しようと工夫してきた人は少なくないはずです。エアコンやテレビなど家電製品の稼働時間を短くするとか、使わない部屋の照明をこまめに切るとか、冷蔵庫を開けっぱなしにしないといった省エネに、既に疲れてしまっている人もいるのではないでしょうか。しかしここまで値上げが重なると、自分の努力ではもう限界と感じずにはいられません。

もはや万策尽きたと言いたくなるところですが、まだなにかできることがないものでしょうか?

生活する以上、電力使用量を減らすには限りがあります。過剰に使用時間を減らしたり、機器を使わなかったりするといった無理をせずできる工夫を、探してみましょう。

特にこれから夏に向けて気になるのは冷房です。省エネのためには設定温度を28度に、とよく言われますが、資源エネルギー庁によると、夏場に設定温度を27度から28度に変えると、1日9時間運転した場合に年間約820円の節約になります。また、フィルターを月に1、2回掃除しておくと、目詰まりしたものより約860円の節約になります。これらは、運転時間を1日1時間短くする(年間約510円)より高い節約効果があります。

冷蔵庫は、庫内に入れるものの量を半分にすると、詰め込んだ場合よりも年間約1180円の節約に、また設定温度を「強」から「中」に切替えると年間約1670円の節約になります。冷蔵庫を天井や壁ギリギリに置いているなら、壁に接する面を片側のみとすると年間約1220円の節約になります。

トイレが電気便座なら、これからの時期は設定温度を中から弱に下げたり、電源をオフにしておくと、約710円の節約になります。使わないときに蓋を閉めるようにすると、開けっぱなしよりも約940円節約できます。

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