西武ドーム、8年ぶり改名の"本当の"理由 3月から「西武プリンスドーム」に名称変更

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ライオンズファンが詰めかける西武ドームの様子 (C) SEIBU Lions

西武グループのある関係者は「台湾などアジアへの認知度アップにつながる」と指摘する。その理由は、昨年末に西武ライオンズへの入団を発表した外国人選手にある。

2014年10月21日、台湾の郭俊麟(かくしゅんりん)投手が西武ライオンズに入団することが発表された。郭投手は大学生ながら仁川アジア大会など国際試合の台湾代表としても活躍した投手。本格派右腕として評判は高く、昨年行われた野球のU21(21歳以下)ワールドカップの決勝ではプロ野球選手もいる日本代表打線を完璧に抑え、優勝の立役者となっている。

この台湾期待のエースが日本のプロ野球界で活躍すれば、おのずと現地での報道も増え、「西武プリンスドーム」の名も広まるという思惑だ。台湾における野球の人気は根強く、これまで多くの台湾人選手がプレーしてきた日本のプロ野球を好意的に見る人も多い。

台湾からのインバウンドに期待

埼玉・所沢市にある西武ドームの外観 (C) SEIBU Lions

ちなみに、台湾のヤフーには日本プロ野球の動向を伝える専用ページがあり、北海道日本ハムファイターズで活躍する台湾出身の陽岱鋼(ようだいかん)外野手の報道が多い。

台湾から西武にやってくるのは、郭投手だけではない。今シーズンから米国出身のミゲル・メヒア投手と元メジャーリーガーのエスメルリング・バスケス投手が入団するが、両選手は昨年まで台湾のプロリーグで活躍。特にメヒア投手は昨年、シーズン歴代最多のセーブ記録を更新する活躍を見せた。両選手の加入も台湾への宣伝効果の後押しとなるだろう。

今、プリンスホテルは海外、特にアジアでの営業展開を強化している。昨年10月には台北に営業オフィスを新設した。アジアではシンガポール、中国の上海に次ぐ営業拠点だが、台湾に3つあるプリンスホテルの支援というより、台湾から日本への送客強化が目的だ。韓国に次ぐ訪日外国人客を誇る台湾の需要取り込みに注力する。

外国人旅行客の増加に備え、国内ホテルの施設の充実化も急ぐ。今年4月までに外国人旅行客に人気の箱根エリアにある複数の施設で、大規模改装や名称変更を実施。さらに、北海道新幹線開業を来年春に控える函館大沼プリンスホテルの改装も行う。

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