配車サービスUberにタクシー業界が「待った」 破竹の勢いの一方、各国当局は規制に向かう
一つに規制の壁がある。世界展開を始めて以来、各地で既存のタクシー運転手によるUberへの猛烈な反発が広がっており、2014年6月には欧州各国でデモが起こった。
その背景には、Uberが配車サービスという業態で事業を行い、タクシー業者に課される規制や要件を満たす必要がないことがある。
特に自家用車を使ったカーシェアリングの「Uber Pop」に対する反発は強く、各国でタクシー業界団体がUberを次々提訴。これを受けて2014年9月、ドイツの裁判所は国内全土でUber Popの利用禁止を命じた。スペインやフランス、オランダでも、サービス提供の停止を求める動きが一気に広がった。さらにインドで12月、運転手が女性客に性的暴行を加えた疑いから、ニューデリーで営業停止になると、逆風は一段と強まる。同月には米国で、運転手を執拗に勧誘したとの理由で集団訴訟を起こされたり、料金を高額請求された(Uberでは需要に応じて料金が変動)との報道が相次いだりと、バッシングがやむ様子はない。
日本ではLINEが参入
一方、日本ではLINEが配車アプリに参入するなど、類似サービスも登場。米サンフランシスコの運転手は「Uberは手数料として料金の2割を持っていくので乗り換えることも考える」と語る。今後は利用者だけでなく、運転手の争奪戦も過熱しそうだ。
こうした中、Uberも手をこまぬいているわけではない。裁判所によりサービス提供禁止が裁定された国では上訴する姿勢を見せると同時に、運転手の履歴チェックを強化するなど安全対策にも力を入れると発表。米国の一部地域においては、食品宅配を始めるなど、新領域への進出にも意欲を示している。
既存業界に風穴を開けることで、知名度と利用者を増幅してきたUber。世界で“包囲網"が広がる中、これから各国でどう折り合いをつけながら、成長していくのか。
(「週刊東洋経済1月17日号」<13日発売>の「核心リポート02」を転載)
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