世界の港を買いまくる中国、根底にマラッカ・ジレンマ 一帯一路と中国の港湾戦略

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米国に急所を握られる中国。港湾開発の裏に海洋覇権への野心がのぞく。

ギリシャのミツォタキス首相(右)とピレウス港を視察する習近平主席(代表撮影:ロイター/アフロ)

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新型肺炎対策の初動の遅れが批判される中国で国を挙げての対策が始まったのは、最初の患者が報告されてから1カ月以上経った1月20日。そのとき習近平国家主席は南部の雲南省にいた。

その2日前に習氏は隣接するミャンマーで同国の事実上のリーダーであるアウン・サン・スー・チー国家顧問と会談し、「中国・ミャンマー経済回廊」の建設に関する共同声明をまとめた。ミャンマー西部にあるチャオピュー港から、雲南省の省都である昆明までを高速鉄道などのインフラで連結するのがその目玉だ。

このプロジェクトは、中国が提唱する「一帯一路」の一部と位置づけられている。一帯一路は陸路の新シルクロード経済ベルト(一帯)と、海路の21世紀海上シルクロード(一路)で中国と欧州を結び、そこに至るまでの沿線国の経済開発を進める巨大経済圏だ。

チャオピューから昆明までは全長1420キロメートルのパイプラインが敷かれている。2017年に運用が開始され、中国が輸入する原油の約6%を供給する能力がある。

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