インフルエンザの治療法が続々登場、新薬の実力

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インフルエンザの治療法が続々登場、新薬の実力

2009~10年にかけて全世界で大流行した新型インフルエンザ。米国では推計で約1万2000人が死亡したとされるのに対して、日本では200人強にとどまった。日本の人口10万人当たりの死亡率は先進国の中で最も低く、その成果は各国から注目を集めた。

死亡者数を最少にとどめることができた最大の要因は、「インフルエンザ治療薬を早期かつ適切に使用したことにある」(渡辺彰・東北大学加齢医学研究所教授・日本感染症学会新型インフルエンザ対策検討ワーキンググループ座長)。

日本では10年前からインフルエンザの迅速診断キットと治療薬が普及しており、新型インフルエンザの大流行時には、大半の患者が発症から48時間以内に治療を受けていた。予約なしで医療機関に行ける医療システムの存在や、患者のインフルエンザに対する関心の高さも、被害防止に大きく寄与した。

1回の投与で済む点滴薬や吸入薬が登場

そうした中で新たな治療薬が相次いで登場。従来からある「タミフル」(経口薬)、「リレンザ」(吸入薬)に加え、1回の投与で済む点滴薬の「ラピアクタ」や吸入薬の「イナビル」が発売された(下表)。治療の選択肢が多様化した点で、患者や医療関係者にとっては朗報だ。厚生労働省によれば、今シーズンにおける四つの治療薬の供給予定量は2667万人分に上り、昨シーズンのほぼ倍の規模になる。季節外れの新型インフルエンザの流行で供給が追いつかなかった昨シーズンと異なり、数量確保面での不安はなくなった。


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