「より右」はない!次世代の党が惨敗した理由 日本では「右翼的主張」はファンタジーである

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議席数を大幅に減らした次世代の党の平沼赳夫代表。(写真:日刊スポーツ/アフロ)

米国の日本専門家に総選挙の分析を聞くシリーズ。今回は、トビアス・ハリス(Tobias Harris)氏だ。

同氏はワシントンに拠点を置くアドバイザリーファームテネオ(Teneo Intelligence)の日本専門家である。テネオに入る前、ハリス氏は日本の政治に関する独立したアナリストであり、ブログ”Observing Japan”のクリエイターであった。そこでは日本の政治状況と諸外国への影響、経済政策などに関する連続的な批評を展開した。彼は多くの執筆を行い、CNBCのレギュラーメンバーでもある。アナリストとして働く前の2006年から2007年の間は参議院議会の議員であり民主党の影の外務大臣であった浅尾慶一郎氏のスタッフとして働いた。ハリス氏はケンブリッジ大学から国際関係学においてM.Philを送られている。

あまり状況は変化していない

――安倍首相は解散総選挙によってどのような利益を得たのでしょうか。

安倍首相はいくらかの時間を得たといえます。しかし、それがどれほどの長さであるかは不透明です。多くの人は、あたかもそれが保証されていることのように、彼が今後4年間官邸に居座る権利を勝ち取ったと語っていますが、そうではありません。安倍首相は、しばらくは物事がうまくいくであろう、という時間を獲得しただけです。この時間を利用して、目の前の幾つかの政策において輝かしい成果を得られるかもしれませんが、全体的に見ると、私はこの選挙が状況を大きく変えたとは思えません。

――それはなぜでしょうか。

2014年に入って直後、安倍首相は、ここ最近では最も強力な首相であるかのように見えました。安倍首相は、日本のシステムを再構築しており、全ての政策はより強力で中央集権化され、すべてが官邸に繋がっているかのようにみえました。私は、もうこれが真実であるとは思いません。1年のうちで、「古い自民党」からの強力な押し戻しを許したからです。選挙を行いましたが、それを変えることにはつながりませんでした。メディアは非常に大きな、目を見張るべき自民党の勝利の可能性を誇大広告したが、それは実際には起こりませんでした。低い投票率は、安倍政権の政策、とりわけアベノミクスに対する支持が低下している状況が継続していることを意味していると思います。

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