東大教授、「女性陰部データ」頒布事件を斬る

現代社会における「わいせつ」とは何か

外国人記者クラブで記者会見に臨む、ろくでなし子氏(写真:Haruyoshi Yamaguchi/アフロ )
アベノミクスでも注目を浴びる、「女性の活用」。一見、聞こえのいいこの言葉、実は大きな問題をはらんでいるという。本連載では、そんな「男と女」にかかわるさまざまな問題を、異色の男性ジェンダー論研究者が鋭く斬る。

 

自身の女性器を3Dプリンタで出力するためのデータを配布した「わいせつ電磁的記録媒体頒布罪」の容疑で、アーティストのろくでなし子さんが再逮捕されました。彼女は7月にも、やはり同容疑で逮捕をされています。今回はそれを販売目的で「陳列」したとして、北原みのりさんも逮捕されました。

「あなたは大丈夫? 『セックスレス大国』日本」の回で論じたように、性にまつわる問題は、オープンな議論を避けようとすればするほど、その忌避のゆえに問題が隠蔽され、そして深刻化します

男性のみが「わいせつ」を議論する性の主体であった時代とは異なり、女性が自らの性を問うことになった現代日本社会において、「わいせつ」とは何なのか、あらためて考えてみましょう。

3つの異なる視角から考える

今回の女性アーティスト逮捕の問題は、3つの異なる視角から考えることができます。ひとつ目は表現の自由と公序良俗の問題、2つ目は性器を隠すことと欲望の問題、3つめは女性にとっての性と性器という問題です。順番に、考えていきましょう。

まずひとつ目の、表現の自由と公序良俗の問題から。

刑法では、わいせつに関連して、公然わいせつ、わいせつ物頒布陳列等、強制わいせつ、強姦といった犯罪が列挙されています。日本は強姦に関しては相対的に少ない社会でありながら、毎朝、数限りなくあるはずの痴漢=強制わいせつが、犯罪とすら認知されずに放置されているという問題を抱えています。

ただ、いずれにせよ、強制わいせつと強姦は、明確な被害者を伴う、明らかな性犯罪です。これに対し、公然わいせつとわいせつ物頒布陳列等については、いったいそれが誰を・何を守っているか(保護法益)が強姦などと異なるという意味で、大きく考え方を変える必要があります。夜道で露出狂が性器を出した場合であれば、明らかに見せられた側が被害者になります。

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