下落傾向の金価格、2016年になれば反騰か ユーロ不安再燃が価格上昇の号砲に

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
円安のおかげで円建て価格は比較的堅調だが、店頭の大半は「売り」の客(撮影:尾形文繁)

米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン元議長の講演料は、一説に、1回10万ドルという。付帯条件がある。「講演料は、できれば金でいただきたい」。

元議長が金の熱烈な信奉者であることは、隠れもない事実である。だが、金は2011年9月に1オンス1923ドルの史上最高値をつけた後、反落。足元1200ドルと4割近く下げている。マエストロの目は曇ってしまったのだろうか。

目先、下げ材料には事欠かない。世界1、2位を争う金需要国のインドと中国。インドは貿易赤字縮小のため金の輸入制限を実施し、中国では汚職摘発キャンペーンが“贈答需要”を直撃している。

投信の買い需要は落ち着いた

そしてFRBのゼロ金利政策の転換だ。金の最大の弱点は金利を生まないこと。リーマン危機以降、先進国の量的緩和(QE)で金利がゼロ近辺に低下したことが、金市況に有利に働いた。が、来年後半にもFRBが利上げに踏み切れば、弱点が再浮上する。

世界最大の金ETF(上場投資信託)であるSPDR金投信。それまで金貨や先物に投資するしかなかった個人や機関投資家を引き付け、12年末には米独伊仏政府に次ぐ1353トンの金を保有するまでになったが、現在は720トンに半減。熱気は雲散した。

11月30日、スイスは「われらがスイスの金を救え」運動の提案を国民投票にかけた。内容は「スイス中央銀行は資産の20%を金で保有せよ(現在7.5%」というもの。可決なら、スイス中銀は1500トンの追加購入を迫られ、市況を強烈に押し上げたはずだった。スイス国民は78%の反対で葬り去った。

次ページ悲観論は聞こえてこない
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事