防衛省の「防衛駐在官(他国でいう駐在武官、ミリタリー・アタッシェ)」をご存じだろうか。アフリカを中心に2014年度は前年度比9名増員され、58名が派遣されている。来年度予算でも、さらなる増員が予定されている。安倍政権が増員を進めているためだ。
しかし増やしたところで、それほどの機能を果たしてはいない。仕組み上の大きな課題があるためだ。
きっかけはアルジェリアのテロ事件
防衛駐在官は派遣国において現地軍当局者と連絡を取り合い、情報を収集するために派遣されている。まず、なぜその防衛駐在官が増員されるのか、その背景をみておこう。これは安倍政権の「積極平和主義」と「武器禁輸緩和」に伴う措置だ。
その直接的なきっかけとなったのが2013年に発生したアルジェリアにおけるテロ事だ。この事件で邦人に多くの犠牲者が発生したが、政府は現地情報の収集で後手に回った。
1996年にはペルーの首都、リマで天皇誕生日祝賀パーティを開いていた日本大使公邸が左翼ゲリラ「トゥパク・アマル革命運動」が襲撃し,700人以上もの出席者と大使館関係者を人質にされるという事件が起きたが、この時も外務省は右往左往するだけでまともな情報も取れなかった。この時、政府の対外情報収集・分析能力の低さが問題視されたが、何ら対策が取られることもなくアルジェリアのテロ事件でも同じことが繰り返された。
元来、外務省は「外交の一元化」のもとに対外情報を独占しているが、軍事を毛嫌いする「お公家体質」のためか軍事関係の情報収集・分析能力が低い。アルジェリアの時も外務省は接触してきた外国の情報機関を拒絶したりした。筆者はアルジェリア情報に詳しいフランスの情報筋からこの話を聞いている。また、アルジェリア当局に高圧的に対応したことが災いし、報道されてはいないが現地に向かった外交官が空港で半日も空港で足止めされるなどの事態も起こっている。
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