安倍首相の地方創生は、すでに失敗している 明治維新以来の「伝言ゲーム」が地方を滅ぼす

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こうしたなか、今年、私たちのエリア・イノベーション・アライアンスで過去の中心市街地活性化における失敗事例をまとめた『あのまち、このまち失敗事例集 「墓標シリーズ」』は大変な反響を得ました。

中でも驚いたのは、財務省主計局の主計官が私たちのレポートを読んで、「自分たちのつけていた予算が、このようなことになっていたとは知らなかった」と話していたことです。もう明治維新以降の都道府県・市町村・国の出先構造では、地方の実態は霞ヶ関には届かず、正確な政策立案は不可能であることを痛感させられた時でした。

旧来の枠組みで考えず、民間の取り組みから考えよ

こんな状況で作られた政策に乗っかったらどうなるかは、いうまでもありません。

地方再生政策が軒並み失敗してきた背景には、上述のように、個別の事業内容が悪い云々以前に、もはや国からの伝言ゲームをベースにした構造で政策が作られ、さらに上から下へと予算が流される形で成果を残すなんてこと自体が、「無理じゃないのー?」ということなのです。

実は、地域での取り組みは、民間が、農業、林業、漁業、地方の中心部の再生などを含め、さまざまな分野で新しい仕掛けを始めて、成果を収めてきています。これを政策に活かすためには、直接的に国が地方事業に手をいれるのか、もしくは地方が自由に事業に取り組む権限を与えるほかないと思います。

「まち・ひと・しごと創生法」にかかれているような、国による基本戦略、都道府県による基本戦略、市町村による基本戦略のような流れ作業では、もう事態は改善しません。

今回の地域創生は、まずは、この構造での情報収集、事業実施から離れて、戦略や事業実施を先進的な民間の取り組みに基づいて考えなおす、いいタイミングであると思います。

木下 斉 まちビジネス事業家

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きのした ひとし / Hitoshi Kinoshita

1982年生まれ。高校在学時からまちづくり事業に取り組み、2000年に全国商店街による共同出資会社を設立、同年「IT革命」で新語流行語大賞を受賞。

早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。

2008年に設立した熊本城東マネジメント株式会社をはじめ全国各地のまちづくり会社役員を兼務し、2009年には全国各地の事業型まちづくり組織の連携と政策提言を行うために一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンスを設立。2015年から都市経営プロフェッショナルスクールを設立し、既に550名を超える卒業生を輩出。2020年には北海道の新時代に向けた「えぞ財団」を仲間と共に発足している。また内閣府地域活性化伝道師等の政府アドバイザーも務める。

著書に『まちづくり幻想』『稼ぐまちが地方を変える』『凡人のための地域再生入門』『地方創生大全』等多数。

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