シトリックス、B2B企業の超刺激的な職場 デザイン思考をオフィスで具現化

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3Dプリンタも導入。イメージをすぐに形にすることができる、インスピレーションを高める取り組みは進んで採用している

櫻井氏は、ビジネスでデザインやデザイン思考を活用する方法として、「デザインは見た目、という概念を捨てること」から始めるべきと話す。製品の直感的な体験や、プロセスに、デザインが宿ること。またその作り方を認めることが、ビジネスの現場でのデザイン活用のヒントになる。

素早く感じ、試してみることが重要

シトリックスにデザイン思考を普及させるキャサリン・カレッジ氏は、社内でも必ずしもすんなりといったわけではなかったと話す。

「Feel Fast and Trying(素早く感じ、試してみること)が重要です。シトリックスの社内でも、思いついたアイデアを試し、採用していくことがすんなりできたチームもあれば、抵抗があったところもありました。その際には、デザイン思考を活用した成功事例を示すことが大切です」(カレッジ氏)

事例を示すことと同時に、若手の社員からアクションを起こしてもらうことも、有効な方法だと話す。

シトリックス・システムズのシニアバイスプレジデント、キャサリン・カレッジ氏

「子どもは生まれながらにして、デザイン思考の生き物です。思いついたら何かを試し、しかもそれをすぐに壊すことができます。しかし積み上げ式で勉強し、テストで評価を行う既存の学校教育で、デザイン思考が失われてきました。

昨今、米国の高校や大学でもデザイン思考が採用され始めており、若手の従業員はすんなりと、デザイン思考のプロセスでの仕事に対応できる傾向にあります」(カレッジ氏)

プロダクトとデザイン、経営とデザインを接近させることは、顧客の変化を捉え、活力ある企業へと蘇らせる。そのツールとしてのデザイン思考を、若手の社員が担うことができると、企業に新たな風を吹き込むことができるかもしれない。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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