包帯で補強?これが最新のマンション耐震だ 見積もり4億円の工事費が7000万円に

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SRF工法では、包帯をまくように補強テープを柱にぐるぐると巻き付ける

耐震診断は、自治体の助成によってほぼ無料でできる。だが、「耐震性不足」と診断された後、補強工事には数億円かかると言われ、工事に踏み切ることのできないマンションは数多くある。中でも、旧耐震基準で建てられた築33年以上のマンションは、工事費用が高額になるうえ、住民に高齢の年金生活者が多く、修繕積立金の増額や上乗せ回収も困難になる。

そんな事情を抱えるマンションにとって朗報となりそうな耐震工法がある。構造品質保証研究所の五十嵐俊一社長が2000年に開発したSRF工法、通称“包帯補強”だ。

東日本大震災でも倒れなかった

マンションを支える鉄筋コンクリート製の柱の表面に接着剤を塗り、その上から車のシートベルトの5倍の強度のポリエステル繊維製のテープを巻き付けていく。工事は2~3人の人力でテープを巻き付けていく作業がメイン。大きな機械や付帯工事の必要がなく、工程も少なくて済むため、価格は従来のブレースや鉄板等で固める工法に比べて大きく抑えられる。

実際、築40年の都内マンションでは、大手ゼネコンによる耐震診断によって補強工事費用が4億円と見積もられたが、SRF工法での補強をメインに行ったところ7000万円弱でできた。

築15年で新耐震基準にもかかわらずSRF工法で耐震補強を行ったマンションの管理組合は、「万が一のことがあっても、建物さえしっかり残ってくれれば避難所生活にならず、二重ローンなどで苦しまなくて済む」と判断。約300万円をかけて、柱3本の補強工事を行った。

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