2011年、ツアーにも国際競争力を

プロゴルファー/小林浩美

 今年のレギュラーシーズンの長い戦いが終わった。特に後半戦は韓国選手の強さが光った。

日本ツアーは2003年からQT(クォリファイングトーナメント)制度を導入し、日本のプロテストを受けなくても実力さえあれば試合に出られる仕組みを作った。当時は海外から日本に参戦する人数は少なかったそうだが、だんだん日本ツアーに目を向ける人たちが増えてきた。それは、試合数も賞金総額も米国に次いで充実しているからである。また、昨年の金融問題で米国ツアーの試合数が減少し、米国内での試合数が全体の半分近くになり、海外との共催試合が12試合にも上るようになったという事情もある。選手はアジア各国やヨーロッパ、メキシコなど移動距離が増して、そのうえ試合は4日間の競技が多い。それに比べると、日本ツアーは3日間の競技がほとんどなうえ、国内だけの移動なので負担が少ない。でも、そこは実力の世界。結果を出さなければ仕事として成り立たない。特にゴルフは予選を通過しないと賞金が出ず、かかった経費は赤字になる。

私も米ツアーに参戦してすぐは、思うように賞金が稼げなくて足が出ていた。それまで日本で稼いだ賞金を赤字分に充てていたのだが、何とかして成績を上げて米国で独り立ちしていけるようにならなくては、と必死になった。足りない技術は習いに行って身に付け、体も鍛えた。言葉も覚えて、自国にいるように何でもできるように仕向けた。次第に住み心地がよくなり、ゴルフも俄然やる気が増してきた。成績が上がればさらに仕事が面白くなるのでますます頑張る。海外から来ている選手はそうやって頑張っている人が多いのではないだろうか。

『学校の勉強だけではメシが食えない!』(岡野雅行著)という本の中に書いてあった。「それに親から見たら、自分の工場で働かせるよりもほかのところでやらせた方が、職人の腕が磨かれるからね。何事もそう。家の中にいたらダメなの。みんなそうやって切磋琢磨して、一人前になっていったんだ」と。

日本と米国は自国のツアーが充実している分、選手が海外に出にくい。一方、韓国ツアーや欧州ツアーは試合数や賞金規模からいったらまだ発展途上。さらに、今はお金も人もグローバル時代になり、ゴルフもよりよい市場を求めて人が動く。実力のある選手は、二つ三つのツアーを掛け持ちしている。世界ランキングが採用された現在、競争相手は国内だけではない。個人では、自国にいようが海外に出ようが、どこの誰と戦っても伍していけるように自分の実力を上げていくことが、グローバル時代にさらなる発展を遂げる道かもしれない。そして、日本ツアーも国内市場にとどまらず、海外、特に近隣諸国での試合開催や海外のスポンサー獲得に進出していけば、より多くのファンが獲得できるのではないだろうか。

プロゴルファー/小林浩美(こばやし・ひろみ)
1963年福島県生まれ。89年にプロ初優勝と年間6勝を挙げ、90年から米ツアーに参戦、4勝を挙げる。欧州ツアー1勝を含め通算15勝。現在、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)理事。TV解説やコースセッティングなど、幅広く活躍中。所属/日立グループ。
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