「敵失」のおかげ?なぜか民主党に追い風 "アベノミクス解散"の行方
午後4時からの維新の党の第一次公認発表に参加しようと衆院第一議員会館に急ぐと、入口で見覚えのある女性が衛視に道を尋ねていた。
「目白へはどう行ったらいいですか」
たった今、新潟5区の公認を受けたばかりの生活の党の森裕子氏だった。おそらくはその報告と挨拶のため、田中邸に赴くつもりだろう。小沢氏は真紀子氏に事前に連絡をしているだろうか。院内で上機嫌だった小沢氏の表情が思い浮かぶ。
維新の党は大きな問題を抱えている。同党の第一次公認では、配布された一覧表の中に橋下徹大阪市長と松井一郎大阪府知事の名前はなかった。彼らがいつ出馬表明するかについて、党代表代行兼国会議員団会長の松野頼久氏は「いつ結論を出すかはわからない」と述べ、不出馬もありうることを暗示している。
橋下氏が出馬するか否かは、今回の衆院選の大きな話題になっている。しかし、今年3月に大阪市長選をしたばかりだ。それなのに国政に転出し、またもや市長選をせざるをえなくなることへの批判は根強い。仮に橋下氏が出馬をすれば、それこそ「大義がない」との批判が噴出するのではないだろうか。
一方で橋下氏らが出馬した場合、受けて立つ側の公明党からは余裕のコメントがあった。「我々には迎え撃つ準備は十分にできている。ただ粛々とやるだけだ」(公明党関係者)。静かな言葉の奥に、ちらちらと炎をのぞかせていた。
空席が目立った首相会見
午後6時から開かれた総理会見では、安倍首相は「アベノミクス解散」と名付けた。懸命に争点を作ろうとしているが、カラ回りになりそうな予感もする。
実際にこの日の記者席は空席が目立っていた。数日前に会見をしたばかりであり、多くのメディアから「新味のある発言はない」と判断されたに過ぎないのだろうが、解散と同様に会見さえも大義がない、と批判されているようにみえなくもなかった。
突然の解散で、自民党は選挙への準備が十分ではない。党内からは今回の解散に反対する声が表面化していたこともあり、足並みの乱れが懸念される。一方の野党は、みんなの党は解党し、維新の党は大阪に不安要因がある。
こうなると、大きな問題を抱えていない民主党が、なぜか安定しているようにみえるから不思議だ。いわば「敵失」が相次いだことにより、意外に議席を大きく伸ばすかもしれない。
夕暮れの永田町は人影が消え、いちだんと寒さが身にしみた。今年もあと1月余りを残すばかりだが、年末までに政界の状況はがらりと変わっている可能性がある。
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