甘すぎた7~9月期のGDP見通し
本連載の8月27日のコラム「アベノミクスで、地方は貧しくなっている」では、野村証券、大和証券、SMBC日興証券が公表した7~9月期の実質成長率の見通しが4%台~5%台であるのは全く理解できない、という趣旨について説明し、「私の考えがおかしいのでしょうか。それとも、大手3社のエコノミストの考えがおかしいのでしょうか」と、素朴な疑問を投げかけたつもりです。
11月17日、内閣府が公表した7~9月期のGDP速報値では、年率換算の実質成長率がマイナス1.6%となりましたが、当然と言えば当然の結果でしょう。アベノミクスには、とくに日銀の大規模な量的緩和には、富裕層と大企業を中心に考えた効果しか見込めないのは、最初からわかっていたからです。
民間シンクタンク12社の当初の予想成長率は平均して4%強であり、各社は速報値の発表1週間前に仕入れた新しい資料やデータを用いて予想成長率を平均して2%程度に下方修正しましたが、それでもマイナスを予想したシンクタンクは1社もありませんでした。
もっとも私にいたっても、3月あたりからずっと「7~9月期のGDPはゼロ成長あたり(-1パーセント~+1パーセントのレンジ)だろう」と言ってきましたので、細かい数字の予想は本当に難しいと実感している次第です。
それはさておき、私が安倍政権誕生以降、ずっと言い続けてきたのは、日銀の過剰な量的緩和がもたらす副作用が国民生活を疲弊させるということです。国民生活の疲弊とは、具体的には、大半の国民の実質賃金が下がるということ、富裕層と一般層、大企業と中小企業の格差が拡大するということなどを指しています。これは、アメリカの直近の歴史を振り返れば、簡単にわかったはずのことです。
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