ウクライナ「地方の村」で今まさに起きていること 自分の村を守ろうとする村人たちの動き

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地方では民間人がそれぞれの村を守ろうと奮闘している。道路の標識を撤去するといったことも行われている(写真:Brendan Hoffman/The New York Times)

村人たちの姿は、車やトラックのヘッドライトに照らされてシルエットしか見えなかった。銃器やこん棒を携帯している者も数人おり、その様子はまるで町を徘徊するギャングのようだった。

彼らはウクライナ中部のヴィーンヌィツャ地方の村で自警団を結成した地元の男女たちだ。街灯が消えた後の村は静かで暗かった。星が光り輝く低い空の下、彼らは道路の脇でたむろしていた。

パトロールに30人集まった

「村人をとても誇りに思っています」。そう語るのは、ウクライナの首都キエフから南西に約140マイルのところにあるホムチンツィ村の村長、オクサナ・ムドリクである。

「わたしたちの村はとても小さいので、『町をパトロールする人が足りるだろうか?』と心配でした。一緒にパトロールに当たる人が3人いればいい方だと思っていました。しかしキエフで戦争が始まった次の日には、30人以上が集まりました」

ロシア軍に占拠されている地域(2月27日時点、作成:The New York Times)

戦争開始から数日後は、ロシアの主な進軍先となり、激しい市街戦や耳をつんざくような砲撃が繰り広げられているウクライナの大都市部に注目が集まった。しかし、ホムチンツィなどの村をはじめとしたウクライナの地方部では、大規模な草の根の運動が巻き起こっている。農民や店主、日雇い労働者、タクシー運転手などの一般国民が、武器を手に、彼らの日常を突然乱した戦争に次々と加わっているのだ。

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