上場後初の決算は減益、リクルートの課題 株式市場は厳しい評価
上場後初の決算は楽観できるものではなかった。リクルートホールディングスは11月13日、2014年4~9月期決算を発表した。営業利益は534億円と前年同期比3.2%の減少。同社が重視するEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)も前年同期比1.1%増の858億円と小幅な伸びにとどまった。
人材募集や人材派遣が好調だった一方、振るわなかったのは販促メディア部門だ。販促メディアは結婚情報誌「ゼクシィ」や旅行情報「じゃらん」、飲食情報「ホットペッパー」などを手掛ける稼ぎ頭。EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)ベースで全社の53%を占める(リクルートは部門別利益についてEBITDAのみ公表)。今4~9月期の販促メディア部門の売上高は同3.3%増となったが、EBITDAは4.4%減った。
先行投資が利益を圧迫
利益減少の背景にあるのが、ITサービスへの先行投資だ。13年1~3月期から費用先行で「サロンボード」「Airレジ」と呼ばれる顧客の販促支援サービスの普及に舵を切っている。これはクラウドベースの業務効率化システムだ。
飲食店に導入されるAirレジは、注文の入っていないテーブルを空席としてリクルートが運営するグルメ予約サイト「ホットペッパーグルメ」に自動掲載する。導入に数十万円を要するPOSレジも不要で、iPad上のAirレジアプリで会計までできる便利ツールとなっている。美容院やエステサロンでは「サロンボード」も仕組みは同じ。広告クライアントなら無償で利用でき、さらにキャンペーン期間にはiPadを無償配布するという力の入れ方だ。
今4~9月期のホットペッパーグルメを通した飲食店のネット予約人数は900万人、「ホットペッパービューティー」を通した美容院やエステサロンなどのネット予約件数は1341万件となった。「(前年同期比で)具体的には言えないが倍以上に増えた」と峰岸真澄社長は言う。Airレジとサロンボードの普及をテコに新規クライアントの獲得を狙う施策は当面続ける方針で、顧客獲得費用がかさむことから、今期の販促メディア部門は通期でも増収減益を見込んでいるという。
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