高齢者は若年者の職を本当に奪っているのか?

高齢者は若年者の職を本当に奪っているのか?

「8月から約10社回ったが、なかなか就職が決まらない」。東京・町田市に住む女性(22)はそう肩を落とす。大学在学中に就職が決まらず、卒業後は簿記やパソコン学校に通い、簿記3級の資格も取った。面接まではたどり着くものの、企業からは「うちは即戦力を求めている」と言われることも多い。「年内には決めたいが、あまり厳しいようだとアルバイトを始めないといけないかもしれない」。

新卒者雇用が深刻さを増している。2010年春、新規大学卒業者の就職内定率は91・8%と、過去10年で最低の水準。未就職卒業者は約7・5万人(大卒・高卒の合計)を数えた。経済停滞や円高の影響で、来春卒業予定者の就職環境はさらなる悪化が見込まれている。

民主党政権は9月に打ち出した緊急経済対策で、新卒者雇用を対策の「一丁目一番地」と位置づける。政府は求職者に対するカウンセリングを行うジョブサポーターの倍増や、新卒採用枠を卒業後3年間に広げるなどの施策によって、2万人の正社員就職を狙う。

欧州では早期引退でも若年者雇用は改善せず

高齢者雇用の拡大が、若年者の雇用機会を奪う--。これは誰もが思い浮かべる構図だ。実際、年齢層別の就業率の推移を見ると、04年以降高齢者(60~64歳)の就業率が大幅に上昇しているのに対し、若年者(20~24歳)のそれは低下傾向にある。

「日本での検証はまだ不十分だが、若者層への影響がゼロというわけにはいかないだろう」と言うのは、慶応大学の太田聰一教授(労働経済学)。65歳までの雇用延長義務が企業に課された06年、内閣府が実施した調査では、高齢者の雇用拡大に伴う影響が限定的と答えた企業が47・6%に上る一方で、「若年層の雇用が抑制される」とする回答も39・4%に達している。


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