低所得の白人たちが反オバマになる理由--イアン・ブルマ 米バード大学教授/ジャーナリスト

8月29日、ワシントンで「アメリカの名誉を取り戻すための集会」が開催された。この集会を組織した人物は、グレン・ベッカーである。彼は右派のラジオやテレビ番組のパーソナリティで、アメリカの誇りだけでなく、“アメリカの価値”も取り戻すと約束している。

もう一人の集会のスターは、サラ・ペイリンだ。彼女は、マーチン・ルーサー・キング牧師が1963年に「私には夢がある」と演説を行ったのと同じ日に同じ場所で、同牧師に敬意を表してスピーチを始めた。彼女はキング牧師に敬意を示した後、海外で自由のために戦っているアメリカ兵の英雄的行動を賞賛する演説を行った。

それは奇妙なものだった。ペイリンは、キング牧師の市民権の話から一転して、軍に対する情緒的で紋切り型の賞賛へと移った。それだけでなく集会全体が何か異様であった。その異様感は、ティーパーティ運動に対する感覚と似たものがあった。なぜなら、最近のポピュリズム(大衆迎合主義)運動は、富裕層減税と社会福祉の廃止を主張する超富裕者の資金援助を得ているからだ。

キング牧師の演説の記念日に、億万長者の主張へ喝采を送る人とは誰なのか。彼らは中年以上の白人で、大半は富裕層から程遠い人々だ。大多数は大学を卒業しておらず、口々に失業の恐怖を語っている。彼らは、政府の支援がなければ高額の医療保険費を払うことができない人々である。彼らはティーパーティ運動のスポンサーが廃止を望んでいる、公的な支援プログラムの恩恵を受けている人々なのである。

しかし、彼らはオバマ政権の医療保険制度改革法を“社会主義”と決め付け、最富裕層に対するわずかな増税を非難している。彼らにとって社会主義とは、欧州的、あるいは非アメリカ的であることを意味している。「アメリカ、アメリカ」と叫んでいる群衆は、運動のスポンサーとは違い、経済的な利己主義に動かされているとは思えない。


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