野村証券、「営業人事改革」の衝撃 営業社員が選択権を得られることに

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長期で顧客の資産形成に寄与する営業マンが求められている (写真:玉川陽平)

20年あまりにわたって証券ビジネスが隆盛を続けている米国では同時にリテール営業の劇的な変化も起きている、その背景にあるのは、大量のベビーブーマー層が退職する時代を迎えるなかで証券会社の営業社員が顧客の資産形成に寄与する受託者責任原則が強く求められるようになった時代の変化だ。

そうした中で、証券会社を退社して、IFA(独立フィナンシャルプランナー)として活躍する証券マンが大幅に増えた。また、その地域の名士などを採用し、転勤のない社員FAが顧客の資産形成にアドバイスを長期にわたって担当するエドワード・ジョーンズのような証券会社がメリル・リンチなど大手証券に拮抗する勢力になり、顧客満足度調査などでは大手証券を上回る評価を得ている。

わが国でも、現在、米国のベビーブーマー層に相当する団塊の世代が退職年齢に差し掛かってきている。時代背景は相似している。 エトワード・ジョーンズに類似した営業スタイルを部分的に導入したようにも受け取れる野村証券の人事改革は、米国でおきたリテール証券営業の劇的な変化をわが国にもたらす発端になる可能性すらあるといえるだろう。

浪川 攻 金融ジャーナリスト

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なみかわ おさむ / Osamu Namikawa

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年、株式会社きんざいに入社。『週刊金融財政事情』編集部でデスクを務める。1996年に退社後、金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌『Voice』の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年にフリー。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』『前川春雄『奴雁』の哲学』(東洋経済新報社)、『銀行員は生き残れるのか』(悟空出版)などがある。

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