産業天気図(非鉄金属) 銅の国際価格低迷と取引条件悪化に加え円高がマイナス

非鉄金属の上場大手6社とひとくくりにいっても、事業内容に大きな違いがあるため、一言でその動向を言い表すのは難しい。
 各社に共通する製錬事業の主要製品としては銅、亜鉛、鉛があるが、金、ニッケルなどの希少金属を扱う会社もある。ただ、すでに国際的に供給過剰状態にあるうえ韓国・中国の参入・拡大もあり、収益的に厳しい産業ではある。銅精錬で首位と2位の日鉱金属・三井金属がJV販社を設立したのを機に、亜鉛、鉛、硫酸などでも国内製錬会社の提携機運が高まっている状況だ。
 加えてここ2年ほど続いている銅の国際価格の低迷と、取引条件の悪化が収益を圧迫しているのは共通の悩みだ。第1四半期までは円安傾向で救われていた面もあったが、ここへ来て円高傾向が強まり、これも下期以降収益の圧迫要因となりそうだ。
 また、銅を中心として電子部品、電子材料も主要製品となっているが、扱い品目が多岐にわたるため、単純に横並びの比較は難しい。が、全体としてはIT関連への依存度が高く、IT需要が大きく回復すれば材料としての銅箔や線などの回復が見込める。概して第1四半期は順調だったが、下期以降もこの状況が続くとは、各社とも見ておらず、この部分に関しては、やや弱気の見通しとなっている。
 最近では環境関連事業に各社とも力を注いでいるが、各社、廃棄物処理から土壌洗浄まで幅広く単純ではない。共通していえることは、環境関連事業を成長部門と位置付け、将来の収益柱への育成と、廃棄物からの貴金属回収による原燃料コストの削減に役立てる方針であることだ。参入企業が増えて競合も厳しくなっているが、成長可能な分野には違いない。
 各社個別の動向としては、リストラがいちばん早く完了した同和鉱業の収益が非常に順調。とくに環境関連事業には早くから力を入れており、同業他社に先んじて収益化が進んでいる。増配も期待できそうだ。
 三井金属もリストラに加え、収益柱の電子関連の需要底打ち反転が奏効している。三菱マテリアル、住友金属鉱山でも、大型のリストラ費用がほぼ出尽くし、収益回復に向かっている。亜鉛トップの東邦亜鉛も、早期リストラが奏効し、オーストラリア鉱山への投資など、積極投資に転じている。
 唯一苦境が続いているのが、古河機械金属だ。ここ数年来収益のネックとなりつづけてきたオーストラリアの銅製錬所をついに断念、1年以内の売却か清算の方向だ。このため、300億円近い損失計上が見込まれ、資本に欠損がでる可能性もある。子会社の売却、豪州精錬所の設備売却などの益出しで埋めるほか、グループ企業などへの第三者割当増資等で回避する計画だが額が大きいため、楽観は許されない状況だ。
【小長洋子記者】

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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