「人生の目標は何だっていいんだ」と気づいた日 資本主義の論理から飛び出す「50代冒険家」

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それは、「ゴミ」であります。

いやね、木のコテージが散らばる広大なリゾートの中は、どこもかしこも完璧なのですよ。美しい庭が整備され、掃除もどこまでも行き届き、まさに楽園そのもの。

でも一旦ゲートを出て幹線道路に突き当たると、否応なく目に飛び込んでくるのはまさかのゴミ・ゴミ・ゴミの洪水なのであった。自然豊かな地域のはずが、道路脇に穴を掘って埋めたプラスティックゴミが、ゴミの量が多すぎて埋めきれず、どんどん地上にあふれ出てきて収拾がつかなくなっているのである。

詳しいことはわからないが、いわゆる「燃えないゴミ」の処理システムが、想定を超えたゴミの増加に追いついていないものと思われた。

インドのゴミを見て考えたこと

道路だけではない。当地域の観光の目玉である、世界的にも有名な川下りのボートに乗ってきたというアメリカ人によれば、水面のそこいらじゅうにプカプカとゴミが浮きまくっていて、楽しむどころかどうにもやるせない気持ちになったということであった。

いやはや、これはもはやキレイとかキタナイとかいうレベルの話ではない。観光にも悪影響があることは間違いないし、何より街中にゴミがあふれまくっているというのは、もう本当に何とも言えない暗いヤサグレた気持ちを誘発するものである。

無論、そこらじゅうに細かいホコリが舞っているので健康にも良くないことは確実。そのような場所で暮らす人々のことを思うと、他人事ながら勝手に心が痛んだ。

当時、日本からインドに原発を輸出するという、個人的にはトンデモねえとしか思えない話が持ち上がっていたところでもあり、いやいやそんなものよりまずは日本の優秀なゴミ処理システムを輸出したほうがよほど人々の幸せのためになるじゃんよ……などと一人勝手にプリプリしていたんだが、そのうちフト、いや待て、そんな人様のことを上から目線であれこれ心配してる場合かという気がしてきたのである。

確かに、わが日本ではこのように街中にゴミが散乱しているということはない。だが、ゴミは消えてしまうわけではないのである。ゴミの燃えカスや燃えないゴミは処分場に埋め立てられ、先ほどチェックした令和元年度の環境省の資料によれば、二十数年後には、埋めたてる場所は日本列島からなくなってしまう計算であるという。

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