「人生の目標は何だっていいんだ」と気づいた日 資本主義の論理から飛び出す「50代冒険家」

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行き先は、そうもちろん、イ・ン・ド♡

……と言うと、ナルホドかの有名なガンジス川の遺体埋葬などを見学してガーンとなって人生観を変えるというショック療法に挑みに行ったんですネ~などといつも勝手に勘違いされるんだが、現実はまったく逆である。

南インドでのリゾートで超ゼータク旅行

会社に身も心を捧げていた案外真面目なサラリーマンとしてはどうやっても実行不可能だった我が長年の夢、そう南インドのアーユルヴェーダ・リゾートに3週間ほど滞在するという、超ゼータク旅行に出かけたのであった。

アーユルヴェーダ。ご存じですかね? ま、女性なら一度は聞いたことがあるんじゃないでしょうか。インドに昔から伝わる体質改善療法で、わかりやすく言えば本格高級エステのようなものである。

美しい海辺のリゾートに長期滞在して来る日も来る日もマッサージ三昧。そして3週間後には見違えるようなピッカピカな体になってインドを後にする……という、もうなんともまさに絵に描いたようなとしか思えないゴージャス旅であります。

無論、それなりのお値段である。長期滞在となればなおさらだ。これから無給生活に突入する身でそんなとこ行ってる場合かよ! という気がしなかったわけではない。っていうか100%そんな場合ではない。

でも逆に、この瞬間を逃したら、これからの「ジリ貧」人生において、この長年の夢を達成できる日は二度と来ない確率が高いのもまた現実。ならば、それなりに過酷なサラリーマン生活に28年間耐え抜いた「自分にご褒美」として、まずは将来のことには一旦目をつぶり、何はともあれ人生の夢を1つ叶えることを優先させたっていいではないかと自分で自分を納得させたのであった。

で、どうだったかって?

いやーもうマジで最高でした。あれほどの贅沢を日本で味わおうと思えば数倍の値段を取られることは確実であろう。良いか悪いかは別として、経済格差、為替格差あってこその分不相応なゼータク体験であった。

とはいえ慣れぬ海外、しかも初インドで、しかも驚いたことにこの時代にあって日本人など右を見ても左を見てもどこにもおらず、インド人と欧米人に囲まれてめちゃくちゃな英語を恥も外聞もなく繰り出してなんとか日々を生き延びるという筆舌に尽くしがたい苦労はあったものの、それも含めて、コロナ禍の今となってはどれもこれもが夢幻のごとく懐かしい思い出である。

だがそのように楽しいことの一方で、さすがは日本とはことごとくスケールの違う悠久の国インド! 実際に行くまでまったく予想もしていなかったショッキングなものを目撃することになったのであった。

次ページインドで目撃したショッキングなもの
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