「GRMNヤリス」筑波で乗ってわかった強烈な実力 731万円超、限定500台の最高峰はまるでレースカー

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一方、直列3気筒1.6Lターボエンジンの最高出力は272PSで、ノーマルのGRヤリスと変わらない。一方、最大トルクは20Nm増の390Nmとされている。そもそも、このエンジンは下山工場にて匠と呼ばれる職人が、各部品の重量を合わせ、組付け精度を徹底するなど特別な工程で組み上げられているだけに、敢えて変える必要はなかったということだろう。

代わりにトランスミッションには手が入れられている。1~4速のクロスレシオ化と、最終減速比のローギアード化は、つまりエンジンパワーを更に効果的に引き出して走れるようにするためのものだが、実はそれだけでなく1、3、4、5速とファイナルギヤには耐久性の高いSNCM(ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材)を用いることで、強度を引き上げてもいる。

これはGRヤリスがレース活動を通じて鍛え上げられていく中、求められた進化である。実際、モリゾウ選手こと豊田章男社長もスーパー耐久シリーズに出場して、クルマを“鍛えて”きた。その豊田社長がよく口にしているのが「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」である。

レースごとにクルマがドライバーに合わせて進化

このGRMNヤリスには購入後のアップデートによる車両の性能向上、そしてユーザーごとの好みに合わせたセッティング変更を行うパーソナライズというプログラムがセットされている。この辺りも、まさにレースごとにクルマが進化し、しかもドライバーに合わせたクルマづくりが徹底されるモータースポーツの知見が活かされたかたちと言える。

他にも軽量高剛性な綾織CFRP製ボディパーツの採用、2シーター化などによる軽量化、車体前後の空力アイテムの追加、専用サスペンションの設定などによって、このGRMNヤリス“Circuit package”は、筑波サーキット(本コース)を1分3秒を切るラップタイムで走り切る。ちなみにノーマルのGRヤリスは1分5秒台だという。1周あたり1分ちょっとのコースで、しかもエンジンパワーは上がっていないのだから、つまりコーナーの旋回スピードが飛躍的に向上しているわけだ。

実は今回、その出来映えを実際にステアリングを握って確かめるという貴重な機会を得た。場所はまさにその筑波サーキットである。

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