「結婚する男女の激減」が招く日本の恐るべき末路 2020年の婚姻数は戦後最少の52万5490組

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日本では、生まれてくる子どもに占める非嫡出子の割合は2.3%に過ぎません。したがって、婚姻数の減少は出生数の減少、人口の減少に直結します。

仮に年40万組が結婚し、1.3人の子どもを産むとすると、出生数は平均で年52万人です。コロナ前の2019年の出生数が21世紀以降で最少の86万5239人にとどまり、「86万ショック」と騒がれましたが、これをはるかに下回る超少子化です。そして、子どもを産むカップルが減っていくので、状況はさらに悪化し続けます。

人口減で「韓国消滅」のリスクも

という話をすると、「結婚するかどうか、子どもを産むかどうかは、個人の自由」という反発があります。また、少子化による人口減少については、経済の専門家からも「生産性を高めれば問題ない」といった意見が聞かれます。

こうした意見は一理あるものの、少子化の影響を甘く見過ぎているのではないでしょうか。

少子化で生産年齢人口が減るのに高齢者の数は2042年まで増え続けるので、社会保障(医療・年金)の負担が現役世代に重くのしかかります。人口が減っても国の借金は減らないので、将来の増税懸念が消費を抑制し、経済成長率を下押しし続けます。

そもそも、今後も人口が減り続けて、日本という国を維持できるのか、という究極の大問題があります。人口減少と国家の存亡というと、いま話題になっているのは中国と韓国。とくに韓国は、合計特殊出生率が0.84(2020年)まで急低下し、「人口減少で22世紀に地球上から最初に消滅するのは韓国」(国連人口部、オックスフォード人口問題研究所など)というのが定説になっています。

しかし、日本でも合計特殊出生率が2005年の1.26を底に持ち直していたのが、直近の5年間は連続で低下しており、再び明確な低下トレンドになっています。このまま婚姻数の減少=少子化を放置すると、世界で最初かどうかはともかく、22世紀のどこかで日本は消滅します。

婚姻数の減少を「コロナの一過性の現象」の一言で片付けたり、少子化を「韓国よりはマシ」と溜飲を下げるのは、日本の将来にとってあまりにも危険なのです。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。

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