「スマートウォッチ」、正しい発展の道とは? "腕時計らしさ"を追求すると隘路に

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試用をしていても、SmartWatch 3にはあまり魅力を感じなかった。今後、さらに改良が進めば気が変わるのかもしれない。あるいは、スマートフォン世代の新しい人たちは、それを受け入れる素地がある、といった意見もあるだろう。しかし、今、あるいはここ数年の話ではないというのが率直な印象だ。

「多機能時計ではない」と割り切ると道が拓ける

ただし、多機能時計ではないと割り切るならば、その先には可能性があるかもしれない。SmartBand Talkは電子ペーパー内蔵で時計機能を持ち、Bluetoothでスマートフォンと繋がるという点では、立派なスマートウォッチだ。また、Android Wearの”カード”をそのままは表示しないものの、Android Wearからのカードな情報を受信して、そのうちいくつか(たとえばSMSやメールの着信、音声通話の相手、スケジュールのアラーム情報など)をシンプルに表示することもできる。

SmartBand Talkの出自はあくまでも、SmartBand(ジョーボーンUP!のような活動量計)だ。活動量をモーションセンサーのログから検出するウェアラブルデバイス。名称の”Talk”はヘッドセット機能に対応しているためで、この製品を通じて音声通話も行える(ただし相手音声が周りに聞こえてしまう可能性があるので、少々気を使うが)。

モーションセンサーを活用することで、本体を指で叩くことで操作するといった要素を持たせたり、登録した特定の連絡先に電話したり、音楽プレーヤの操作を行うこともできるが、やはり基本はBluetooth接続された活動量計である。

そのフォルムは腕時計ほど主張しないし、身に付けていることを意識させようという意図も感じない。。現時点では「細身の女性用腕時計」程度のサイズだが、これがSmartBand,あるいはジョウボーンUP!に近いサイズ感になるならば、”時計とは別のウェアラブル機器”として、右手首あるいは時計の隣に装着という使い方もあると思う。

写真では一度に両方の機器を撮すため、SmartWatch 3、SmartBand Talkを同時に撮影するため片腕にしているが、もっと小さければ右手首でもいいし、さらに気にならないなら腕時計の隣に(まるでミサンガのように軽快に)巻くこともできるだろう。

存在感を意識させないデバイスのほうが、まだ普及の可能性がある、というのが、今回の結論だ。現時点では細身の時計だが、来年、再来年にはもっと身に付けることを意識させない小さなものになっていると思う。「できることをなんでも詰め込む」のでなく、機能を絞ることが重要なのである。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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