スタバ・ジャパン、TOBの真相とは? 日本法人を完全子会社化する狙い

拡大
縮小

今回のスキームで重要だったのが、SBJの大株主であるサザビーリーグの意向だ。「ロンハーマン」や「アフタヌーンティー」など幅広い衣食住ブランドを展開するサザビー。1995年のSBJの設立時から米スタバ本社のパートナーとして、店舗開発や人材育成に深くかかわってきた。

それだけに、SBJ株の売却にも難色を示しそうに思われる。だが、実際は正反対のようだ。米スタバの発表資料には、今回のTOBはサザビーから米スタバに打診された、と記されている。

割安でも得する仕組み

サザビーのブランド売却には前例がある。同社は1983年にファッションブランド「アニエスベー」を展開するフランスのアパレル企業と合弁会社を設立した。が、2005年には保有する全株式を、合弁相手の仏企業に売却した。過去にこうした経緯もあったことから、「TOBの発表を聞いても、特にサプライズを感じなかった」(SBJ関係者)。

今回、サザビーを対象とした買い付け価格は965円。その他の株主向けと比較すると、3割以上低い。一見割安に思えるが、実はこの価格でもサザビーは一定の“うまみ”を享受できる。

資金使途について、サザビーは、「既存ブランドの出店拡大や新ブランドとの提携に充てる」と説明する。が、「MBO(経営陣による自社買収)時の借入金の返済に使うのでは」(前出のSBJ関係者)という見方もある。

次ページ米本社のメリットとは?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT