家族と仕事のキャリアの狭間で悩んだときの視点 今と未来のフェーズを分けて考えることが大事

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そうであれば、まずは「自分1人の人生設計」を悩むのではなく、ご夫婦で「家族の人生設計」を考えるべきです。どちらがどんな役割分担をするのか、お互いがどんなキャリア観や人生観を持っているのか、そういったことを話し合い、自分1人で問題に立ち向かうのではなく、家族として、夫婦として問題に立ち向かうようにすべきです。

HAさんは独身者としてキャリア展開と人生を切り開くわけではなく、ご夫婦、家族としての人生を創り上げていくフェーズにいらっしゃいます。お子さんがいれば、当然のことながらさまざまな制約が出ることは、想定されることです。

ただ、その制約をHAさん1人で抱え込み、犠牲にすることは間違っています。そういった仮の姿は、いつか破綻します。

HAさんのお立場では考える主体はご自身ではなく、家族であるべきで、物事の主体や行動の主語は家族です。夫婦や家族とは、すなわち生活を「協働して営む」主体です。どちらか一方の犠牲のうえに成り立つのは協働とはいえません。

ですから、まずはご夫婦で話し合い、どんな家族像を目指し、それをどういやって営んでいくかを共に考えるべきです。そのうえで、今度はHAさん個人として「今何をすべきか」、そして「今後、どんなタイミングで何をすべきか」を考えるべきです。

一歩一歩理想とする姿に近づいていけばいい

人生において大切なのは、最終的に自分が理想とする姿に辿り着くことです。何かを諦めたり、何かを犠牲にしたりする必要はなく、人生のそれぞれの段階、それぞれのライフステージに応じて、できることややるべきことをし、一歩一歩理想とする姿に近づいていけばいいのです。

そのためには、まずは家族と自分の理想とする姿を明確化する。そして、そのうえで物事の優先順位を考え、今は何に注力し、次のステップのためにどんな準備をすればよいか考える。そのようにして、一歩一歩前進して行けばいいのです。

1人ですべて抱え込まず、理想とするパーフェクトな姿をいきなり狙おうとしないこと。今自分は何をし、将来のためにどんな準備をするべきか、まずはそういった目先のことを大切に考え、実行に移しましょう。

HAさんがご夫婦で手を取り合って、理想とする家族の姿に一歩一歩近づくであろうことを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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