世界的科学者と経済学者が明かす「最高の老い方」 誰もが「健康長寿」を目指すべき納得の理由

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いつ食べるかも重要です。栄養不足や飢餓はよくないのですが、実際には、人間の身体は1日2食のほうが対応しやすくなっており、カロリーや栄養素は、しっかりカバーしたうえで、少しお腹を空かせているほうがよいのです。

また、1食はたくさん食べて、もう1食は少しにするという形にしたほうが、疾患への対応力も強くなり、老化も進みません。

スコット:生活環境のなかの「行動」という点では、20代の方々に、子どもたちの様子を見てほしいと申し上げたいですね。つまり、いろいろなことに興味関心を持って関わっていくことが大事なのです。

今後、人生において長い時間を使うことができるとなれば、いろんなオプションを開いておくことが大事です。選択肢を持つことですね。

50代になると、自分の得意なことや価値観などがしっかりできてきますが、人生が長くなれば、そこでまた学び直しができます。自分を見極めながら、投資をして、人生を探索し、自分に合った変化をしていくことが重要ですね。

シンクレア:もう1つ、現在の医療の問題は、高齢になってから、個々の病気の治療をしようとすることにあります。アルツハイマー、糖尿病、心臓病などは、90%は老化によって生まれるものです。

しかし、今の病気に対する考え方は、それらに対して1つずつ絆創膏を貼ることで解決しようとするもので、「年をとる」というプロセスのなかで、徐々に病気の要素が生まれてきているという点は、無視されています。

年をとれば、同時に15ぐらいの病気にかかり、体の中ではさまざまな合併症が増えていきます。そこに個々の絆創膏を貼っても効果はありません。現に、がんの治療をしても、寿命は、平均2年間しか延びていません。

やはり、根本的に解決するには、老化治療を行うべきなのです。これは、21世紀における健康問題の大きな革命になるでしょう。

スコット:がんにならなくても、アルツハイマーになるのではと思っている人は多いですが、複数の病気が、「老化治療」という1つの治療で済むのなら、そのメリットは大きく、波及効果もあるはずです。生活の質は大きく向上するでしょう。

マルチステージの人生へ

スコット:『ライフシフト』では、前の世代とは違う考え方が必要だと訴え、マルチステージの人生を推奨しています。特に仕事においては、より柔軟な働き方を模索するということです。

最近は、日本でも徐々に在宅勤務ができるようになり、子どもを産みやすい環境づくりが進んでいるようです。仕事と生活のバランスを、ライフステージに応じて変えられるようになる必要があると思います。

時間を見つけて運動をしたり、人との接触を増やす、余暇をとるということによる変化も起きますし、仕事そのものが、他者とエンゲージメントするうえで有用なものですから、さらにより良い働き方へと変わっていくことになるでしょう。

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