朝日新聞騒動がメディアに示したもの 「紙かデジタルか」迷ううちに業況は激変!
東京電力福島第1原発の吉田昌郎元所長(昨年7月死去)の証言(吉田調書)と従軍慰安婦問題をめぐる「ダブル誤報」を発端にした、朝日新聞への強烈なバッシングは収まる気配を見せない。
ライバル新聞はチラシを配布して朝日の誤報を責め立て、主要な雑誌媒体の見出しやネット上には「廃刊せよ」という過激な文言も踊る。「近い将来の販売部数は3分の2に減る」と報じたメディアもある。
確かに、朝日の部数は減っているが、たとえば配達2000~3000部程度のとある販売店に聞いてみたところ、この8月だけの解約は10部前後。現時点での減り方は一部で騒がれているほど致命的ではない。理由は日本特有の新聞販売システムにある。毎日宅配する新聞を自動引き落としで長期契約している顧客が多く、「契約を更新しない」と言っても実際に解約となるのはずっと先の話だからだ。
朝日の正念場はこれからか
逆に言えば、謝罪会見で一服したかに見えるブランド毀損の影響が本格的に発現するのはこれからだ。朝日の正念場はじわじわ訪れる。
朝日の「ダブル誤報」はそれぞれ意味合いも国内外に与えた影響度もまったく異なるため一口には語れないが、図らずも「世間一般への情報の伝わり方」が変化していることを象徴的に浮かび上がらせた。
今回の騒動の特徴として読者の苦情が増えたり、販売部数が明確に減少したりするなどの影響が出る前に、インターネットやソーシャルメディアで批判が拡散されたことがある。池上彰氏のコラム掲載拒否問題(後に掲載)について朝日の記者もツイッターを使って自社を批判。それも含めて聴衆の反応が可視化され、実際に大きな影響を与えた。このことが朝日新聞の木村伊量社長の謝罪につながった側面はあるだろう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら