楽天経済圏が「Rポイント」で挑むリアル展開 「Tポイント」や「Ponta」と差別化できるか

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一部の加盟店では、クレジットカード「楽天カード」で決済すると100円につき1ポイント、電子マネー「楽天Edy」の場合は200円につき1ポイントが 「Rポイントカード」のポイントに追加で還元される。この還元率は既存のポイントカードとほぼ同じ。現在は加盟店で配布されるプラスチック製の磁気カード が必要だが、「Rポイントカード」の会員証バーコードを表示し、カードがなくてもサービスを使えるスマートフォンアプリも早々に提供する。

ミスタードーナツや大丸、サークルKなど大手企業も加盟店になっている

一方、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)傘下のTポイント・ジャパンが運営する国内最大手のTポイントは、現在約5000万人が利用し、ファミリーマート、マルエツ、ガストなど114社の約23万店で使える。TSUTAYAをはじめとするリアルの世界で普及が進んでいたが、昨年7月にヤフーのネット通販モール「Yahoo!ショッピング」で貯まる「ヤフーポイント」がTポイントに統合され、ネットでの活用場所が広がった。

 三菱商事子会社のロイヤリティマーケティングが運営するポンタは、ローソン、DVDレンタルのゲオ、ガソリンスタンドの昭和シェル石油など80社、107ブランドの全国2万3400店舗(9月16日時点)で利用できる。こちらもネット領域で出遅れていたが、サロン予約の「ホットペッパービューティー」などのリクルートのサービス利用で貯まる「リクルートポイント」が来春ポンタに統合されることが決定。これにより、加盟店舗数は10万店舗規模に広がる見通しだ。

 ライバルとの違いを強調

ネット企業のヤフーや、リクルート側から見れば、リアルに強い共通ポイントに自社のポイントを統合することで、リアルの加盟店舗網を手に入れられるメリットは大きい。一方、ほかのポイントサービスとは組まない楽天は、1社1社、自前で加盟店舗を増やして”経済圏”を拡大させていく必要がある。さらに、先行するライバルは「ポイントによる販促効果は限定的。それ以外に、加盟店舗に大きなメリットを感じてもらわないと、離脱されてしまうリスクがある」(CCC)と指摘する。

楽天の三木谷社長は10月1日の会見で、「Rポイントカードには(潜在的な会員基盤として)すでに9400万人もの楽天会員がいる。楽天市場と実店舗を含めた圧倒的な購買ビッグデータを加盟店に提供し、商品開発や価格戦略などのマーケティングに生かしてもらう」と述べ、企業が加盟するメリットを語った。さらに、「メールやRポイントカードのアプリを通じて加盟店舗が店舗に集客する方法にも楽天に優位性がある」とライバルとの違いも強調した。

「今日(10月1日)午前0時からの出だしは、申込数も利用も想像をはるかに上回る」(三木谷社長)というRポイントカード。今後もその勢いを持続し、「楽天経済済圏」のリアルへの本格進出の橋頭堡となれるのか。カギは、消費者と加盟店舗の両方が満足するサービスの提供にありそうだ。

(撮影:梅谷秀司)

長谷川 愛 東洋経済 記者
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