ケンコーコム後藤社長が語る、「辞任の弁」

次期社長は楽天マート・橘田氏が最有力

ケンコーコム社長を辞任する後藤氏。その胸中やいかに
楽天の連結子会社であり、医薬品や日用品のネット通販を手掛けるケンコーコム。創業者の後藤玄利社長が8月末、突然の辞任を発表した。辞任予定は10月下旬の臨時株主総会後だ。
後藤社長はこれまで、医薬品のネット販売を巡って、国との裁判を戦ってきた業界の革命児である。今年6月にはついに、医薬品のネット販売が正式に認められたところだった。あまりに唐突な辞任劇の裏には、親会社(持株比率51%)である、楽天との微妙な距離感も見え隠れする。 渦中の後藤社長を直撃した。

――ケンコーコムにとって、「まさにこれから」という時期だ。なぜ今、辞任するのか。

「まさにこれから」だからこそ、(後任に)引き継ぐことにした。Eコマース市場はパワーゲームになっている。こうした局面では、親会社としっかりタッグを組んで成長を加速させることが重要だが、僕自身は創業者でケンコーコムへの思い入れが強く、グループでの調整には不器用だ。

ケンコーコムにとっての最適が、楽天グループにとっても最適とは限らない。たとえば、楽天に最適な物流拠点の配置が、ケンコーコムにとって最適ではないこともある。

だが、調整にもたもたしていると、(Eコマース市場のように)スピードが速い世界では致命的だ。実際、同時期にスタートしたヤフー・アスクル連合に、楽天・ケンコーコム連合は後れを取った。より速く走るには、楽天のペースで走ったほうがいい。そうすればあっという間に追いつけるはずだ。

我慢できないのは自分のわがまま

――それならば、ケンコーコムへの思い入れの部分を、ぐっと我慢することはできなかったのか。

そう考えなかったのは、自分のわがまま。サラリーマン経営者にはなれないという気持ちがあった。自分のやり方で付加価値を出しづらくなってきたら、もっと出せる人に代わるべきだ。

――楽天に傘下入りした当初から、こうした結末は予想できたのではないか。

ありえるシナリオだと思っていた。が、もしケンコーコムが独立資本でやっていたら、もっと早くダメになっていた。

Eコマース業界には、アマゾンという特殊な存在がいる。グローバルのトップでありながら、なお成長を加速しており、利益を出さない構図で株式市場から支持を受けている。アマゾンは本や家電、ゲーム、アパレルなど、さまざまな分野に入り込んでいる。他社が少しでも隙を見せると、グローバルな資本を小さなカテゴリーに集中投下して、その業界を干上がらせる。とても丸腰ではやっていけない。そこで国内最大手の楽天と組むことにした。

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