住友商事、「資源」で高値づかみの大失敗 米国のシェールオイルなどで2400億円の減損
資源バブルに乗り、資源バブルで失敗した――。
住友商事は9月29日、今2015年3月期の業績予想を大きく下方修正すると発表した。従来、連結純利益は前期比12%増の2500億円を計画していたが、計2400億円の減損損失計上で、同96%減益の100億円になるという。これに伴って、下期25円配としていた配当予想も見送った(上期は25円配予想)。
とりわけ、シェールオイル・ガス関連権益の投資損失が、今回目算の狂った最大の要因だ。12年6月に権益を取得した、米テキサス州のタイトオイル(シェールオイル)開発事業で、1700億円の減損を計上することが大きい。
「事前の調査段階では収益化の確度は高いと思っていたが、掘ってみると地下の形状が予想以上に複雑だった。このため、採掘にコストがかかることになり、可採埋蔵量の下振れも余儀なくされた」(中村邦晴・住友商事社長)。将来の収益見通しを大幅に引き下げた結果、今回、残存簿価19億ドル(2070億円)のうち、8割強を損失として計上せざるをえなかった。
シェールに石炭、鉄鉱石でも減損
シェール関連だけではない。これに加えて、豪州の石炭事業で300億円、ブラジルの鉄鉱石事業で500億円を、石炭価格や鉄鉱石価格の下落を反映し、減損を実施。さらに米国のタイヤ小売り事業でも200億円の減損を行う。
シェールオイル・ガス関連では、他の総合商社も、大なり小なりの減損を余儀なくされてきた。直近では伊藤忠商事が米オクラホマ州にある権益で、290億円超の減損損失を今年4月に発表したばかり。シェールの「高値づかみ」は、業界全体にダメージを及ぼしている。
とはいえ、今回の住友商事のように、千億円単位もの損失を出した例はない。2009年12月、アジアの企業としては最も早く、現地企業とパートナーを組んで、シェールガス開発に参入したのが住友商事だ。本来なら経験が最も豊富といえる企業が、なぜこれほどまで大きな投資損を招いたのか。
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