このように、裏側を知るとギョッとするような「原材料」はまだまだある。たとえば、合成着色料は石油。「タール系色素」とも呼ばれる。少量でムラなく色が出るのが利点だ。
現在、日本で食品添加物として認可されている合成着色料は12種類(赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号)。
イギリスの食品基準庁では、合成着色料を摂取した子どもに多動性行動が見られたという研究報告を受けて、「子どもの活動や注意力に悪影響を与える可能性があります」という表示を義務化した。義務化されたうちの赤色40号、赤色102号、黄色4号、黄色5号は、日本で使われている。国によって取り扱いが異なるから不安である。
「石油」に「虫」――着色料は何でもアリ?
だが、天然着色料も安心できない。コチニール色素はオレンジや赤の着色に使われるが、原材料はなんと虫(サボテンに寄生するカイガラムシ科エンジムシ)。ドリンクのほか、ハムやお菓子など広く使われている。
このコチニール色素によるアレルギー症状の発症例が報告され、2012年5月に消費者庁が注意を呼びかけた。
「虫の内臓から色素を取るから、内臓のたんぱく質に反応してアレルギーを起こすのです。日本でも1990年代からコチニール色素によるアレルギーの臨床報告が大阪などであったのに、国はずっと無視してきた。しかも、2012年5月以降もアレルギー表示を義務化する動きはない」と安部さんは首をかしげる。
食物繊維が入っている“ファイバードリンク”としておなじみ「ファイブミニ」のオレンジ色も、コチニール色素が使われている。製造・販売している大塚製薬の広報に確認してみた。
「現在も引き続き、コチニール色素を使用しております。1988年に発売してから25年以上経ちますが、アレルギーを発症したという報告はございません。健康被害の申し出も今のところないという状況です。アレルゲンたんぱく量を十分確認したうえで、2001年からは低アレルゲン化したものを原材料として仕入れて使用しております」
──なぜわざわざ虫を使うのかが不思議です。ほかのもので代用できないのでしょうか。
「コチニール色素はいろいろな食材に使われていることもありまして、商品設計の中で最適なものを使用しております」
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