統合から1年、コカ・コーラEJが目指す先 国内ボトラー最大手のトップに聞く

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だから今、EJ社では各フロアに2人、計6人の講師を常駐させ、無料で英語の勉強ができるようにしている。私自身も以前はまったく英語を話せなかったが、26歳からきちんと勉強を始めて、こうして話せるようになっている。私でもできたのだから、社員もできるはずだ。

Calin Dragan●1966年生まれ、ルーマニア出身。同国のボトラーを経て2011年に来日。コカ・コーラウエスト副社長、三国コカ・コーラボトリング社長を経て2013年7月から現職。

もう1つの課題はダイバーシティ(多様性)だ。国籍、年齢、性別などさまざまな要素があるが、まずは女性社員の部分に注力する。2020年までに女性管理職は現在の6倍である100人へ、全社員に占める比率も20%まで高めていきたい(現在は9%)。男性の育児休暇取得も推進する。さっそく9月から取る者が1人決まった。

――国内飲料市場は頭打ちとも言われ、シェア争いも激しい。コンビニでは入れたてのコーヒーが売り上げを伸ばしている。今後はどのような戦略が必要か。

 まず申し上げたいのは、先進各国と比較すると日本は伸びている市場だということ。たとえば鉄道の駅構内などはまだ開発しきれておらず、チャンスがあると思う。

コンビニコーヒーに関して影響はあるが、対抗策も打っている。たとえばキャップ付きの缶容器やペットボトルのコーヒーは持ち運び可能で、コンビニコーヒーにはない機能を提供できていると思う。ただすべて巻き返すことはできていない。商品開発全般に関しては、引き続き日本コカ・コーラとしっかり協働していく。

これまでは同じ顧客でも、ボトラーごとに細分化されていた営業が統一され、よりニーズに合い、かつ一貫した提案ができるようになった。まずはしっかりと強固な関係を築いていきたい。人材育成にも多額の投資をしていく。50万台展開している自販機も重要だ。新しい設置箇所を掘り起こすだけでなく、キャッシュレス機能など新たな価値を搭載した機械をさらに導入していきたい。

(撮影:今井康一)

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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