「MSN」全面リニューアルの勝算 産経一本槍から決別、複数の新聞社と提携

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コンテンツの拡充を担当した日本マイクロソフトの鈴木公子I&CE統括本部長は「提携する新聞を増やすことで、これまでより多様な意見がサイトに反映される。情報を得る際の選択肢が広がることで、利用者のメリットになると判断した」と説明する。今後、地方紙などに提携を拡げる可能性もあるという。

技術面では、スマートフォンなどのタッチスクリーン操作に対応し、横方向への画面のスクロールを導入。iOS、アンドロイド向けアプリの提供も予定している。「MSNのリニューアルで、マルチデバイス時代の利便性を個人の身近なところから感じてもらいたい」(鈴木統括本部長)。

産経デジタルも新サイト開始へ

これに伴い、日本マイクロソフトが2007年から産経新聞グループの産経デジタルと共同運営してきた「msn産経ニュース」のサービスは、9月末で終了する。日本マイクロソフトは2004年から2007年までは毎日新聞と提携し、MSN毎日インタラクティブを行っていたため、今回で2度目の"離婚"である。

msn産経ニュースでは、MSNの日本語サイトから、msn産経ニュースの記事にリンクが張られるなどの連携が取られていたが、「マイクロソフトのグローバル規模でのMSN刷新に合わせて、産経新聞グループと見直しを検討した結果、終了が決まった」(日本マイクロソフトの広報担当者)。

一方、産経デジタルも9月8日、都内で会見を開き、10月1日から新たな旗艦ニュースサイト「産経ニュース」に加え、小学館、新潮社、PHP研究所など出版社と提携し、政治、経済や国際情勢などの総合オピニオンサイト「iRONNA(いろんな)」をスタートすると発表した。オピニオンサイトでは一部のコンテンツ閲覧が有料となるが、開設から当面の間は全コンテンツを無料公開することで読者の獲得を目指していく。

ヤフーニュース、googleニュースの例を見るまでもなく、複数のメディアと対等、かつオープンに付き合うのが当たり前になっている。「1ポータル+1メディア」という形の提携は、すでに時代遅れとなっており、今回の"離婚"は必然だったともいえるだろう。

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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