薩摩川内市議、"再稼働"めぐり賛否両論 地元市議3氏に聞く、川内原発再稼働の是非

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川内原発は新規制基準下での再稼働第1号候補と目されている(写真:東阪航空サービス/アフロ)
新規制基準の下での再稼働第1号候補と目されている九州電力の川内原子力発電所1、2号機は、今なお原子力規制委員会による審査が続いている。これまでの規制委による審査や自治体が独自に策定する避難計画に対しては、地元からもさまざまな問題点が指摘されている。
川内原発が立地する薩摩川内市は、鹿児島県とともに原発再稼働の要件となる「地元同意」を判断する自治体である。その市議会は26人で構成されるが、大多数は市長と共に再稼働賛成派。もし今、採決すれば、圧倒的多数で「同意」が決まる公算が大きい。
ただ、薩摩川内市民の間では福島第一原発事故を経て、再稼働に反対ないし慎重な市民が増えているともいわれる。それをうかがわせる市民アンケートの結果も出ている。また、同市を含め、鹿児島県民を対象に南日本新聞社が5月に行った世論調査では、再稼働に「反対」もしくは「どちらかといえば反対」と答えた人は59.5%を占めた(前年調査比2.8ポイント増)。住民の思いは揺れ動いている。
薩摩川内市議会の議員はどう考えているのか。議会の川内原子力発電所対策調査特別委員会のメンバーである3氏に話を聞いた。佃氏、井上氏は再稼働反対派、成川氏は賛成派である。

避難計画は再稼働の必須条件であるべき
市議会と市民の間に"ねじれ現象"

佃 昌樹(企画経済委員会委員長、川内原発対策調査特別委員会委員、社会民主党)

避難計画は原発再稼働のための必須条件だと考えている。国や規制委は必須条件ではないという立場だが、地元住民にとっては命や財産を守るためにこれ以上なく重要だ。避難計画を度外視した再稼働はありえない。

避難計画自体にも問題が多い。現在の避難計画では避難所での1人当たりのスペースは約2平方メートルと、畳1畳分しかない。一時退避ではなく避難なのだから、1週間とか10日間、そこで生活することになる。プライバシーもない状況の中で長時間生活するとなれば、みんな出て行ってしまうだろう。

避難先の受け入れ施設側も、場所を提供するだけといった認識で、避難物資のことなど具体的な話は人任せだ。避難民の地元と受け入れる側が十分協力し合えるような態勢にはなっていない。

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