2期連続赤字、苦境の「貸会議室TKP」が待つ夜明け 長期貸しやワクチン接種会場などに商機も

拡大
縮小

2019年度は四半期毎に20億円弱を計上していた料飲部門の売り上げは、2020年度以降には1~3億円へと激減した。

料飲部門をはじめとした附帯サービスの売り上げ減少により、貸会議室事業におけるKPI(重要業績評価指標)である坪当たり売上高も、コロナ禍直前の2019年12月~2020年2月の3万8358円(月当たり)から2021年6~8月には2万9687円(同)と、2割以上減少した。

「コストを圧縮して(コロナ収束までの)あと1、2年を何とかしのぐ。今は冬眠状態だ」(河野社長)。会社側は当面、貸会議室の稼働を上げて室料を手堅く稼ぎ、料飲や宿泊といった付帯サービスの需要が回復するまで耐え忍ぶ戦略を取る構えを示す。

会議室の「週貸し」や「月貸し」も

まず着手したのは不採算施設の閉鎖だ。対象は、宴会利用に力点を置いていた大型施設の「ガーデンシティ」及び「ガーデンシティプレミアム」シリーズ。両シリーズは2020年2月末に83施設あったのが、2021年8月末には76施設へと減少した。内製化していたケータリング向けの弁当製造も、自社工場を閉鎖して外注に切り替えた。

既存の貸会議室は、新たな用途の開拓に奔走する。これまでTKPの貸会議室は会議のほか、採用試験や研修、セミナー会場としての用途が主だった。これらはコロナ禍で対面からリモートでの実施へと軸足を移したため、利用は当面見込めない。

そこでTKPは時間貸しが売りだった貸会議室の「期間貸し」に舵を切った。

机や椅子を並べて家具付きオフィスに仕立て上げ、サテライトオフィスやテレワーク拠点として週貸しや月貸しを訴求。貸会議室の稼働率の向上によって、室料収入を底上げする狙いだ。前出のガーデンシティシリーズにおいても、契約条件などで撤退が困難な施設については、一部フロアを貸オフィスに転用している。

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