「妖怪ウォッチ」、爆発的ヒットの極意(中) 仕掛け人が語る「子供向け企画」の正しい作り方

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――妖怪ウォッチと過去の作品の違いは。

イナズマイレブンとダンボール戦機は僕が基礎ストーリーを書きました。オープニングから途中の盛り上がり、クライマックス、エンディングという大きな流れを作る。そこに謎を設けて、最終話を目標にする。しかしこのやり方だと、アイデアや設定のおもしろさとかが、すべてその内容に関わるんです。1年目、2年目、3年目はうまくいったけど、4年目はちょっと辛くなってきました。

――ハリウッド映画のシリーズ物のような。

そう。だから少年漫画の長い連載のような感じで、だんだんと無理が来るんですよね。イナズマイレブンでも長く続くコンテンツを作ると言いながら、長く続けられない「型」をとってしまっていた。「サザエさん」や「ドラえもん」は、ある意味、5話から見ても、40話から見ても同じようにみえる。同じ状態をずっと続けていくようなストーリーテリングをしなきゃいけない。

妖怪ウォッチは「コント」である

長く続くコンテンツにするため、テレビアニメの展開でも工夫をこらした。座っているぬいぐるみはメインキャラクターのジバニャン。

そこで、新しいやり方を編み出すために、今回の妖怪ウォッチのアニメは、コントにするというコンセプトを打ち出しています。30分の番組の中で4つ、5つの話があったりする。

とにかく起承転結はなくていいから、ウッチャンナンチャンとかダウンタウンがやってたコント番組のように、大したストーリー展開もしなかったけれど、でもちょっと笑えたねという5分間が過ぎるみたいな感じで。30分のアニメーションの中でコントをやるというコンセプトなんです。

――オチはなくてもいいんですか?

オチはなくちゃダメです。僕、オチがないとすべてリテイクにしますよ。ただし、起承転結はなくてもいい。人を笑わすギャグやコントだっていうことを常に重視した作り方をしています。それが毎回どこを切って見ても楽しいというバラエティ番組的なものになるんだろうと思います。

――結果的にコンテンツとしての寿命も長くなる。

そうですね。長い小説のような展開の一部を見ているんじゃなくて、昨日スタジオで収録されたものを今見るみたいな感覚です。そういう感じになる作品作りをしてみようかと。

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