ウマが「指1本で走る」独特進化を遂げた深い経緯 ヒトの体で表す衝撃のイラストで見る

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② ゾウの鼻は地面の草を食べるために伸びた

次は、ゾウの特徴を人間で表現した「ゾウ人間」です。ゾウ人間は、鼻と一緒に上唇も伸びていますが、本物のゾウもこのようになっています。

最古のゾウの祖先といわれるモエリテリウムには、今のゾウのような長い鼻はありませんでした。大きさはブタくらいでした。その後、ゾウの仲間は進化するうちに体がどんどん大きくなりました。体だけではなく、頭も歯もキバも大きくなったのです。そうなると地面の草を食べるために頭を下げるのは大変なので鼻が長くなったと考えられています。

ウマやキリンは頭があまり重くなくて首が長くなったので、立ったまま口を地面に持っていけました。頭が重かったゾウは、長く伸ばした鼻を手のように使って草を食べたり水を飲んだりできるようになったと考えられています。

(出典:『カメの甲羅はあばら骨 ジュニア版』)

キリンがめまいを起こさない理由

③ キリンの脳には立ちくらみを防ぐ機能がある

次は「キリン人間」です。人間をはじめとして哺乳類の首は基本的に7つの骨でできています。長い首を持つキリンも骨自体は7つで、1つ1つが長く伸びているのです。

『カメの甲羅はあばら骨 ジュニア版』(SBクリエイティブ)。書影をクリックすると、アマゾンのサイトへジャンプします

キリンは、高いところにある草を食べるために首が長く伸びたと考えられていますが、心臓から頭までは2m以上もはなれています。

キリンは水を飲むとき、地面まで頭を下げますが、今度は頭が心臓より3mも下になるので、脳に一気に多くの血が集まってのぼせてしまいそうです。また、そこから頭を急に上げると、一気に血が下がってめまいを起こしそうです。ところが、キリンの後頭部には網目のような細かい血管がかたまりになっています。これは「ワンダーネット」とよばれ、首の太い血管から流れてくる血をここで散らすことで、血液が一気に脳に流れることを防いでいるのです。

(出典:『カメの甲羅はあばら骨 ジュニア版』)
川崎 悟司 古生物研究家

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かわさき さとし / Satoshi Kawasaki

1973年、大阪府生まれ。古生物、恐竜、動物をこよなく愛する古生物研究家。 2001年、趣味で描いていた生物のイラストを、時代・地域別に収録したウェブサイト 「古世界の住人」を開設以来、 個性的で今にも動き出しそうな古生物たちのイラストに人気が高まる。 現在、古生物イラストレーターとしても活躍中。主な著書に『カメの甲羅はあばら骨 人体で表す動物図鑑』『サメのアゴは飛び出し式 進化順に見る人体で表す動物図鑑』(以上、SBクリエイティブ)などがある。池袋サンシャイン水族館で書籍とのコラボ展示「スケ・ボーン展meets カメの甲羅はあばら骨」が開催されるなど活動は多岐にわたる。

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