フランス、2年で「仕事・家族・恋愛」こんな変わった フランス在住の2人が久しぶりに熱く語り合う

✎ 1〜 ✎ 12 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 最新
拡大
縮小

くみ : 個人的に面白いと思ったのは、ロックダウンが始まった頃、隣国ドイツで「感染予防のため恋人は1人に絞るように」というのが出されなかった?フランスでは見なかったけど。そんなプライベートまで言及するのは面白いなと思った。

ただ、それまでに恋人がいた人であっても、いちばん厳しいロックダウンのときは緊急時を除いて1キロ圏内しか移動が許されなかったから会うのも難しかったんじゃないかと思うし、逆に近場で求める人も増えたのかもしれないと思った。

ロックダウン中に近所のスーパーに必需品の買い物に出かけたとき、昼間でもひっそり静まりかえった通りで声をかけられたことが2回あって驚いた。普段は声なんて絶対かけられない通りなんだけど……。

厳しいロックダウン後に増えた離婚率

エマニュエル : 夫婦関係においても変化はみられる。前までは、夫婦がずっと一緒に過ごすのなんて老後が始まってからだろうと思っていたのが、20年も30年も早くそんな状況になったわけだからね。このことで夫婦の絆がより強固になったという場合もあるけれど、もちろん逆の場合もある。多分これはフランスだけではないと思うんだけど、2020年は離婚率が平年よりも増加した。特に厳格だった1回目のロックダウンは、夫婦の関係に大きな影響を与えた。普段であったら見過ごせたような些細なことが、ストレスで抑えられなくなり夫婦仲に修復しようのない亀裂が入ってしまったんだ。

結果として、2020年5月後半期には、前年同時期よりも25%も離婚が増加したそうだ。離婚理由としては、「もう耐えられない」「浮気していたのがばれた」「もう特に話すことも共有することもないことがわかった」というのが多い。イギリスでも同様に、2020年の7月から10月における離婚件数が前年よりも122件も増加したそうだよ。

くみ : そうやって数字で示されるとやっぱりコロナは生活様式を変えてしまったと言えるね。フランスはだいぶ戻ってきてる気はするけど、今後どうなっていくのか引き続き注意が必要だね。

エマニュエル : 多分コロナの状況にかかわらず、テレワークによる社会の変化の大部分はこのまま続いていくだろうね。フランス人もすっかりテレワークに慣れたし、社会におけるテレワークの受け入れられ方もすっかり以前とは変わってしまったから。そしてフランスの社会全体もこうやって見てきたように変わりつつある。僕が思うに、これはなんだか静かなビッグバンって感じだよ。

佐々木 くみ 執筆家、イラストレーター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ささき くみ / Kumi Sasaki

東京生まれの30代。フランス在住10年を超す。2017年10月に、エマニュエル・アルノーと共著で自らの体験をつづった『Tchikan(痴漢)』をフランスで出版。イラストも手掛けた。

この著者の記事一覧はこちら
エマニュエル・アルノー 小説家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Emmanuel Arnaud

1979年生まれ、パリ出身。2006年より児童文学、小説、エッセーをフランスにて出版。2017年にThierry Marchaisseより佐々木くみとの共著『Tchikan』を出版。2000年代に数年にわたり日本での滞在、および勤務経験を持つ。個人のサイトはこちら

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT