厳しい「しつけ」で子どものやる気を奪う親の盲点 「しつけ」と「押しつけ」の決定的な違い

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以上をまとめると次のようになります。

【しつけの場合】

自然といつの間にかやってしまっている状態が作られているため、とくに嫌悪感というネガティブな感情はあまり出てきません。目の前のことをやらせるよりも、やるようになるための生活全般のリズムを作るというプロセスのほうを重視しています。もし、うまくいかなければ、また修正して新しいリズム作りをしていきます。

【押しつけの場合】

無理矢理やらせられ、子どもの感情、感覚が無視される傾向にある状態。特徴として、すぐ結果を求めるということがあります。また、「押しつけ」のときに使われる典型的な言葉として、「きちんとしなさい!」「ちゃんとしなさい!」「早くしなさい!」「勉強しなさい!」等があります。

しつけ、押しつけにもバランスがある

ここで最後に大切なお話があります。

これまでの話を聞くと、自分がやっていることは「押しつけばかり」「もうやらないようにしないと」と思った方もいるかもしれません。しかし、実際の生活では、100%理想的な形にするというのも現実的ではありません。

「早くしなさい!」という言葉は、日々つい使うでしょうし、「宿題やったの!」など頻繁に口にしているかもしれません。そのたびに「また押しつけをしてしまった」と後悔する必要はありません。

「しつけ:押しつけ」は100:0にするものではなく、70:30や80:20と、押しつけのほうが全体的に少なく、「徐々に押しつけが減っていけばいい」という程度に考えるほうが結果としてうまくいくように思います。以上、参考にしていただければ幸いです。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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