理研、キーマンの死で遠のくSTAPの総括 科学者の死という悲劇に発展した論文問題

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STAP論文問題を受けて4月16日に会見を行った笹井芳樹氏(撮影:風間仁一郎)

STAP論文の不正をめぐる騒動は、ついに笹井芳樹・理化学研究所CDB(発生・再生科学総合研究センター)副センター長の自死という痛ましい事件に発展してしまった。

笹井氏は、STAP論文の共著者で、主著者の小保方晴子氏の指導役でもあった。2000年のCDB設立当初から、竹市雅俊センター長とともにCDBを作り上げ、地元・ 神戸市が推進する医療産業都市構想(1998年始動)にも関与するキーマンだった。多大な貢献のあったES細胞とその脳神経細胞への応用など再生医療研究はもちろんのこと、多方面で打撃が少なくないとみられる。

アクションプランは近く公表か

この事件の前日の8月4日に理研は「STAP細胞事案に関する対応について」という文書を出した。7月25日の日本学術会議幹事会による理研への批判的な声明を受けたもので、不正についての新たな予備調査、科学的検証、再発防止に向けた取り組みの3点に言及。早急にアクションプランをまとめ、8月中に公表する方針という。

STAP論文は7月2日に取り下げられたものの、懲戒委員会を一時停止し、不正についての「新たな予備調査」が行われている。調査報告後に、実験に使われたはずのマウスとSTAPとされる細胞の遺伝子の型が合わないなど複数の疑念が出てきたためだ。

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