6歳でもわかる「借金」親が教えるべきお金の事 「借金」の怖さを子どもに説明できますか?

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次の日のことでした。直也くんがお母さんに言いました。

「今日は、僕が母さんに、チョコを貸してあげる。僕が4個で、お母さんが6個ね。そのかわり、明日は僕に7個ちょうだい。これでいいんだよね」

直也くんは、貸して増やすということを覚えたようです。幼い子どもに「利息」ということを教えるのは、かなり大変です。けれど、なんらかの方法で、人から借りたものは必ず返さなくてはいけないということと、借りたらお礼をつけて返さなくてはいけないということは、大人になる前にしっかりと教えておいた方がいいでしょう。

そうしたことが身についていないと、欲望のままにお金を借りる、我慢ができない大人になってしまうかもしれません。そして、借りたお金が返せずに借金だらけの人生になると、子どもは不幸になります。

借金をせずにやりくりする習慣をつけよう

子どもがもう少し大きくなって、実際に「お金を貸して」と言ってきたら、返済利息を書き込んだ借用書を用意してサインさせ、借りたお金よりもたくさんのお金を返させることをしてみましょう。

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その場合、返済は月々にもらえるお小遣いの中から、もらえる額を減らすという方法で行うといいでしょう。それが頻繁に続くようなら、小遣いが借金で消えてしまうこともある。

もらえるはずだった小遣いが、予想した以上に減ってしまったり、もらえなくなったりしたら、子どもはお金を借りるということがどんなに損なのかがわかるし、安易に借りることの恐ろしさも理解するはずです。

たぶん大人になれば、誰もがさまざまなお金のトラブルに悩まされることでしょう。それは避けては通れないことかもしれません。

ただ、自分の手元にあるもので何とか我慢してやりくりするという習慣が身についていれば、トラブルに遭ってもそれほど被害も大きくなく、乗り越えていくことができるのではないでしょうか。

子どもには、お金を借りなくては生活できないような大人ではなく、できれば、人に貸せるくらいの余裕を持てる大人になってほしいものです。

荻原 博子 経済ジャーナリスト

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おぎわら ひろこ / Hiroko Ogiwara

 1954年、長野県生まれ。大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。経済の仕組みを生活に根ざして解説する、家計経済のパイオニアとして活躍。著書に『払ってはいけない』(新潮新書)、『老前破産』(朝日新書)、『年金だけでも暮らせます』(PHP新書)など多数。

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