「三菱自動車の"顔"をもう一度構築する」

相川哲郎新社長が思い描く理想のクルマとは

一貫して開発畑を歩いてきた相川新社長。車両開発にかける思いは人一倍強い。
 2000年、04年と2回にわたるリコール隠し発覚を受け経営危機に陥った三菱自動車。約9年に及ぶ三菱グループ各社からの財政支援などの経営再建にメドをつけ、2014年3月期には過去最高益を記録。そして16年ぶりの復配も果たした。
 再建を経て復活を本物にするには、自動車メーカーの本分であるクルマづくりに懸かっている。そうした中、三菱商事出身で9年間社長を務めた益子修会長兼CEO(最高経営責任者)の後継として、今年6月に社長兼COO(最高執行責任者)に就任したのが相川哲郎氏だ。
 昨年11月に三菱自動車が発表した中期経営計画では、得意とする東南アジアなど新興国での成長、 SUV(スポーツ用多目的車)や電動車両(電気自動車やプラグインハイブリッド車)に焦点を当て、16年度の販売台数は13年度比で4割弱増加の 143万台を見込む。久々の生え抜き社長として相川氏はどのような舵取りを行うのか。

 

――新社長として考えている今後の課題は。

「企業価値の向上」と「持続的成長」という2つのテーマを掲げていく。まず、企業価値の向上にはブランドの再構築が必要だ。過去10年以上もの間、品質問題でブランドが毀損されてきた。これをもう一度取り戻したい。品質という根っこがしっかり生えていないと、幹も枝もできない。

ただ、「根っこ」だけではお客様に買っていただけない。花を咲かせ、実を結ばなければいけない。これを技術とデザインで取り組んでいく。30年間開発に携わってきた中で、上司からは「よそがやらないことをやれ」と口癖のように言われてきた。(再建期は)さまざまな制約の中で必ずしもできていなかったが、今後はもう一度その気持ちを呼び覚まして新しいことに挑戦したい。

修羅場をくぐり、人は成長する

電気自動車(EV)で世界初の量産車「アイミーブ」を出した当社としては、これをベースにしたプラグインハイブリッド車(PHV)などの電動車両を技術のコアにしていく。今年6月から欧州で本格的に販売している「アウトランダーPHEV」は非常に評判が良い。これまで出してきた車の中で一番手応えがある。

デザインに関しては、会社の規模にかかわらず良いものは出せると考えている。(フロントグリルの)バッジを隠したらどこの車かわからない、といった車は絶対に作らない。三菱のアイデンティティとなる”顔”をもう一度構築したい。あえて言葉で言うと「タフ」で「スピード感」のあるデザインだ。

――持続的な成長には何が必要でしょうか。

人材育成だ。日本で人を集めて育てないといけないが、これもブランドイメージがもっと高まらないと良い人材が採れない。まずは、若い人たちの力を生かしたい。かつての経営危機で1割の開発人員が会社を去った際、とにかく社員に自信を持ってもらわないと辞めていくなと思った。修羅場をくぐらせれば、その人自身も成長するし、チーム力もつく。

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