「Facebook卒業します」の背景にあるもの ニュースフィードの「CNN化」にうんざり

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Facebookはこうした問題を回避するシンプルな方法を用意している。ヘルプにも「ニュースフィードに表示されるものを変えるにはどうしたらよいですか。」(というページに方法がまとめられている。

ここで紹介されているのは、ニュースフィードの切り替えとフォローについてだ。

ニュースフィードは標準では、「ハイライト」に設定してあり、コメント数・記事を投稿した人・記事の種類などから上位に表示する情報を決めるものだ。一方「最新情報」は単純にフォローしている人の投稿を時系列に並べる。

また、フォローによるニュースフィードの調整も可能だ。ニュースフィードには友達に登録したり、単純にフォローしている人、「いいね」を押したページやブランド、参加しているグループの投稿がニュースフィードに表示される。もしもその人やページ、グループの投稿をニュースフィードに表示したくない場合は、投稿の右上をクリックして「フォローをやめる」を選択すれば良い。

ちなみに、フォローをやめて投稿をニュースフィードに非表示にしたことは相手には伝わらない。また友達登録とフォローは別々に管理されているため、フォローをやめたからといってFacebook上の友達ではなくなる、といった心配もない。

本当はリストを管理することで、自分の投稿を見せる相手も設定できるのだが、筆者はつい「時間があるときに」と思って手を付けないうちに、友達が1000人を超えてしまった。もしもリスト管理が現実的であれば、こちらもおすすめだ。

スマホの設定で、能動的にFacebookに関わる

このようにちょっとした下準備や、日々流れてくるニュースフィードを自分で調整することで、卒業したくなるほど居心地の悪い環境を回避することができる。見たくないものは見ない、という選択もまた自由であり、そのためのツールは存在している。

また、Facebookアプリをスマートフォンから消さなくても、新着通知の表示方法を変えるだけで、スマートフォンでFacebookアプリに張り付いているといった状況をなくすこともできる。例えばiPhoneの場合、設定→通知を選択し、Facebookアプリの通知を「バッジ」から「なし」にし、ロック画面でも非表示に設定する。

これにより、ホーム画面にFacebookアイコンに新着通知の数は表示されるが、振動したり音が鳴ったり、画面に通知が表示されなくなる。通知、すなわち相手のタイミングで受動的に開いていたFacebookアプリを、自分のタイミングで見たい時見る、能動的な関わりに変えられるのだ。

本稿では「Facebook卒業」という散見された事象について、本人に話を聞いた内容をまとめ考察してきた。

同時に、Facebookが既に用意している「快適なニュースフィード作り」のための設定についても触れた。もちろん話を聞いた人以外にも様々な思いを持ってFacebookを使っている人がおり、フォローしきれていない事情もたくさんあるだろう。その点を踏まえ、考え始めるきっかけになれば幸いだ。

人間関係というものは複雑で、一筋縄ではいかないという前提を忘れてはならない。Facebookに限らず、モバイルやウェブが存在する以前からの共通の事象でもある。しかしテクノロジーがこうした問題の表面化や拡大のスピードそのものを圧倒的に変えたことに目を向けなければならない。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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