フェイスブックはもう「旬」を過ぎたのか? ユーザーの8割はいなくなる?

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 本連載は、GAFAに関するトピックをひとつないし複数採り上げながら、米国・シリコンバレーを中心とするIT事情を定点観測的にお伝えしていく。今回はフェイスブックを採り上げる。フェイスブックは2013年末からその不調が伝えられている。特に若い年齢層がフェイスブックからほかのサービスへと移行しているという論調だ。フェイスブックの反論と、展望について考える。
「フェイスブックはユーザーを80%失う」説に信憑性はあるのか(写真:ロイター/アフロ

米国では、フェイスブックに関するとんちのようなやり取りが行われていた。ユーザーと入学者数が数年以内にいなくなるという不気味な話である。

プリンストン大学の研究チームが発表した論文は、フェイスブックは今後3年以内にユーザーベースの80%を失うだろうと指摘した。筆者のジョン・カナレラ氏とジョシュア・スペシュラー氏は、ソーシャルネットワークサービスに対して、疫病の伝搬と収束のマッピングに用いられる方程式を当てはめた。検証としてMySpaceのブームとその終焉の予測を用いたとのことだ(関連記事:Fast Company )。

これに対しフェイスブックは、同社のデータサイエンティストらがGoogle Trendsのデータを利用した調査によると、プリンストン大学の入学者数は2018年までに半減し、2021年までにゼロになると発表している。もちろん、このデータが極めて非科学的であることを承知のうえでの発表であるが、プリンストン大学の研究も同様に非科学的であるという意見をアピールする、しゃれたジョークだった(関連記事:Tech Crunch )。

Facebookのコンプレックスとは

プリンストン大学とFacebookの研究の科学性についての検証はさておき、Facebookの不調についての指摘が面白がられる経緯もある。2013年末、同社の決算発表の場で、CFOのデビッド・エバースマン氏が、日中のユーザー数の減少を認め、とくに10代前半のユーザーが減少しているとの指摘を認めており、そうした証拠となるデータには注目が集まりやすいからだ。

 Facebookが若者に人気のあるモバイル向けサービスSnapchatを買収しようとして断られたという経緯も記憶に新しい。写真が保存されずによりインスタントなコミュニケーションを実現するツールは、固定的な関係性とその結びつきを強めていくことを薦めるFacebookとは対照的だ。より活発な若いアクティブユーザーを囲い込みたいFacebookからすると魅力的に見えるのかもしれない。

足下のビジネスである広告モデルにおいて、Facebookは成果を上げている。Facebookは2013年第4四半期に、広告のクリックは史上最高を記録している。Adobeのレポートによると、Facebook広告のクリックレートは前年の365%増となった。またKenshoo Socialによる調査でも、前四半期と比べクリック数は66%増えている。同社の数字だけ見れば、非常に好調だ(関連記事:Mashable)。

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