考えてみれば、新幹線ではグリーン車でも当然の如く飲料や酒類、食事は有料だ。東海道新幹線で使い捨てのおしぼりが提供されるぐらいである。つまり、航空会社の無料サービスは慣例に過ぎないのだ。海外の航空会社は早くから有料化しており、堂々と料金を取って販売する。乗客も当然のように対価を払って購入する。
記事には機内サービスの企画担当者のコメントがある。「コスト削減効果はもちろんあるが、顧客満足の向上が当初の目的だった」(同紙より)という。
再生段階にあるフラッグキャリアだけでなく、航空会社が苦境に立たされているのはもはや誰しも知るところである。「コスト削減やむなし」との認識が顧客側にも広がっているのは確かだが、その中で、削減するだけでなく、「満足を高める」ことを志向する活動に意味があるのだ。
ポイントは、従来無料だったものを有料にするにあたって、「誰に、(どこ・どのようなシーンで)どのような便益を提供するのか」をしっかりと考えたことではないだろうか。
同社は顧客のニーズを定量的に把握している。「ANAの調査によると、お金を払ってでも自分好みのサービスを選びたい人は6~7割いた」(同記事)という。それはどのような人だったのだろうか。
記事では「出張客や家族客に支持されている」とある。家族客は多くは旅行目的だろう。せっかくの「ハレの日」には、特別な体験をしたい。無料提供がなくなったのは仕方がないとするなら、同じものを有償で手に入れるより、いいものが欲しいと思うのではないか。
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